水深4mの湖底からミラーレス一眼を釣り上げ成功!データもカメラも復活したミラクルストーリー!
「魚釣り」より難しい「カメラ釣り」開始!回収用の〝リグ〟を作成
三脚ごと湖に落ちたカメラは、数10秒間はブクブクと泡を出していた。だから、私はある程度の山立てをして、場所を覚えようとした。湖といってもダム湖の上流域なので、左右の岸の距離はせいぜい30mほど。魚探を見ると、水深は4m。回収できない深さではない。もちろん私はサルベージ作戦を開始した。 三脚に装着したカメラを水深4mから釣りあげるためには、やはりどこかに針を貫通させる必要がある。しかし、三脚もカメラ本体も釣り針がかかる場所などほとんどない。可能性があるのはたった1か所、それはストラップだ。私はラインにパンチング用の1オンスシンカーを通し、ビッグベイト用のトリプルフックを装着して、即席のカメラ回収リグを作成。その針でストラップを貫き通すイメージを描きつつ、ボトムを探っていった。 シンカーが着底して、ずるずるとボトムを引いてくると、多くの場合はたい積した葉っぱがフックにくっつく。ダム湖の上流部なんてたいしたものは沈んでいなのので、丁寧に探ればきっといつかはコツンと硬いものに当たるはず。それはきっとカメラである・・・と自分に言い聞かせた。 でも現実は甘くない。たとえカメラにコツンと当たっても、一発でストラップにかかることはまずありえない。当たった場所を正確に記憶して、何度もそこを通さなければならないのだ。しかも、それがカメラではなく、単なる岩だったりしたら、無駄な時間を費やすことになる。 不毛な時間が過ぎた。そうなると、自分の記憶に対する自信が薄れていき、確信を抱いていた捜索範囲も、だんだんその面積を広げていった。 そもそも、あのカメラを回収することに意味なんてあるのか? 「OM-D」は防滴防塵で非常にタフなカメラだが、いくらなんでも、水深4mまで落ちたら無事であるわけがない。間違いなく壊れている。つまり、釣り上げたところで、仕方ない・・・いや、違う。あのカメラには、撮影済みのSDカードが入っているのだ。その中には、落水直前に撮影した50アップの写真はもちろん、娘の写真や旅行の思い出写真など、大切なデータがたくさん入っている。たとえカメラは壊れても、SDカードは生きてるはず。つまり、カメラを回収するというより、データを回収することが主な目的だった。 ボート屋さんには事情を話して時間を延長させていただいた。激闘約3時間・・・午後6時30分ごろ、ついにあきらめた。 ボート屋「明日は定休日だけど、その気があればボート出していいよ」 心配して駆けつけてくれた、ボート屋のおやじさんは、そう言ってくれた。