【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第21ステージ】プリモシュ・ログリッチが史上最多タイとなる4度目の個人総合優勝「最後は“何としてもやり遂げる”という意志だけだった」 シュテファン・キュングはグランツール初勝利
今大会の殊勲者であるオコーナーは、「総合表彰台が最終目標」と述べてコースへ。第1計測を16秒の遅れにとどめると、後半は少しペースを落としたものの、それでもフィニッシュはトップから1分5秒差。マスとカラパスより速く走り抜いて、個人総合2位を決めた。グランツール初の総合表彰台だ。 「今の僕にとって、個人総合2位は勝利に匹敵するよ。最後の最後まで集中して走ることができた。リスボンでの開幕時と比べると、調子の良さがまったく違う。個人総合優勝を意識できる位置を走れたことも大きな経験になったよ。いつかログリッチに勝てるかって? ノー、ノー! 彼はチャンピオンなんだ。でも、そんな彼に近づけたことが誇らしいんだ」(ベン・オコーナー)
そして真打ち、ログリッチである。オコーナーに対し2分以上の総合リードがあり、彼のTT走力を考えれば、よほどのミスがない限りジャージを失うことはない。とはいえ本人は、大逆転で敗れた2020年ツールの経験があるから「最後まで何があるか分からない」と集中してスタートラインへ向かった。
いざ走り出したら快調そのもの。前述したように食中毒の影響があったとはいえ、走りからはそれを微塵も感じさせない。キュングのタイムには及ばなかったものの、大きく遅れることはなく、最終的に31秒差でのフィニッシュ。文句なしの個人総合優勝だ。ブエルタ制覇回数タイ記録と同時に、グランツール5勝目は歴代8位タイの快記録でもある。
最終的に、王者ログリッチとオコーナーとの総合タイム差は2分36秒。3位マスとは3分13秒差だった。
各賞は前述のとおり、ポイント賞グローブス、山岳賞ヴァイン、ヤングライダー賞スケルモース。チーム総合はUAEチームエミレーツが獲得し、同チームのマルク・ソレルがスーパーコムバティヴ(敢闘賞)を受賞した。
8月17日にポルトガル・リスボンから始まった3週間の旅。総距離3265kmを走破した勇者たちが、マドリードに帰還した。完走したのは135選手だった。
3つのグランツールすべてが終わり、この先のビッグレースはワンデーが中心に。その最高峰は、9月下旬のロード世界選手権、さらには10月に控えるイル・ロンバルディアとなる。そして、わが誇りのジャパンカップサイクルロードレースも待っている。ここまででも十二分に激動の2024年シーズンだけれど、まだまだ楽しみは残されている。 文:福光 俊介
福光 俊介
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