【丸の内Insight】セブン買収提案が迫る日本企業の変革-2025年展望
展望2:アクティビストさらに活発化、上場廃止に追い込まれる企業も
日本企業の行動にここ数年、大きな影響を与え続けているのが国内外のアクティビストです。三菱UFJ信託銀行のまとめによると、24年6月の株主総会で、アクティビストを含む機関投資家から株主提案があった企業は46社、議案数は124件に上り、社数で過去最高を更新しました。
数年前までは、アクティビストに株を持たれた企業は、自社株買いや配当引き上げなどの株主還元策の強化により、それ以上の要求を抑え込めたケースが少なくありませんでした。ですが、アクティビストの要求は厳しさを増しており、最終的に非上場化に追い込まれるケースも出てきています。
ソフトウエア開発の富士ソフトは、大株主となった3Dインベストメント・パートナーズが実施した同社株売却入札で、非上場化の流れが決定付けられ、米系投資会社KKRと米ベインキャピタルによる争奪戦は越年しました。医療用機器のトプコンも大株主である米アクティビストのバリューアクト・キャピタルから非上場化を求められ、入札プロセスに入っています。
アクティビスト対策を手掛けるコンサルティング会社の幹部は、アクティビストに上場の意味を問われる企業はますます増えるとみています。アクティビスト起点の非上場化や再編の動きが盛んになることが予想されます。
オペレーショナル・アクティビズム
アクティビストが狙う企業は割安銘柄というのが通り相場でした。典型的なのがPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業です。割安であればあるほど、株価の上昇余地は大きく、うまみが多いというわけです。しかし、その動きに変化の兆しが表れています。
一例が花王です。花王の時価総額は約3兆円。PBRは足元で3倍を超えていますが、香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントが株式の5%を保有し、花王の経営陣は潜在的な事業価値を実現させていないとするキャペーンを始めています。オアシスは公表したホワイトペーパー(経営改善の提案書)で、花王の成長に向けた事業提案を行っています。事業ポートフォリオなども含め経営についてアドバイスをする「オペレーショナル・アクティビズム」と呼ばれる手法です。