【全日本】三冠王座を失った安齊勇馬。「人生で1回あるかどうか分からない大事な5ヶ月間でした」
――取材のたびに話してくれましたね。 安齊:7.20後楽園の本田竜輝戦や8.3仙台の斉藤レイ戦、そして、6度目の防衛は叶いませんでしたが、8.17青柳さんに敗れた立川での戦いにおいては、SNSで批判の声がなかったんです。 「これで叩かれるなら仕方ない」という気持ちで、自分自身を全部出し尽くしました。全ての防衛戦、全身全霊を注いで死ぬ気で戦いました。 そう考えると、メンタル的にすごく強くなれたと思います。三冠王者にならなかったら、他のレスラーの標的として、あそこまで自分に注目が集まることはなかった。 本当にいい経験もできましたし、人間としても成長しました。 やっぱりスキルがないと長い時間を戦い抜くのは難しい。ある意味、強制的な環境で、防衛戦ごとに対応しないと生き残れなかった感じでした。 そういう状況の中、試合を重ねるにつれ、徐々にタイトルマッチに順応できるようになり、“試合の中で身体を休めるタイミング”が、少しずつ分かるようになりました。 僕が三冠王者として君臨したのは約5ヶ月。半年にも満たない期間ですけど、僕の中では、人生で1回あるかどうか分からない大事な5ヶ月間でしたね。
――5月29日後楽園での宮原健斗選手相手の初防衛戦から8月17日立川大会の青柳優馬戦まで、約2週間に一試合のハイペースで防衛戦を行いました。 安齊:終わったら翌週には防衛戦が控えているという(笑)。 ――密度の濃い5ヶ月間を過ごしたことで、9月からアップデートした安齊勇馬選手を見られそうですね。ところで今後の目標はなんですか? 安齊:三冠王者だった期間を経て、「戦える部分」と「足りない部分」が明確になったと思うんです。まだデビュー2年目、いろんなことにチャレンジしながら邁進しようと考えています。 僕がデビューしたのは2022年9月18日、まもなくキャリア3年目に入ります。「石の上にも3年」という言葉があるように、タイミング的にも一区切りつけなければいけない。 ですから「安齊勇馬」というプロレスラーを確立させようと思います。 これから安齊勇馬の第2章が始まります。 先が読めなくファンの方々をすごくワクワクさせると思うので、これからもずっと応援よろしくお願いいたします。 (おわり) <プロフィール> 安齊勇馬(あんざい ゆうま)1999年5月15日生まれ、群馬県安中市出身。高校時代からレスリングを始め、中央大学に進学後もレスリングを続け、東日本学生レスリング選手権大会春季大会で優勝、全日本大学グレコローマン選手権で5位入賞などの成績を収める。諏訪魔からのスカウトを受けて2022年4月に全日本プロレスへ入門。同年9月18日、日本武道館で永田裕志を相手にデビュー。2023年にはプロレス大賞の新人賞を受賞。2024年3月30日、中嶋勝彦を破り24歳10か月で三冠王座戴冠。宮原健斗の持つ最年少戴冠記録(26歳11か月)を塗り替えた。
取材・文/大楽聡詞 編集/黒澤浩美