【全日本】三冠王座を失った安齊勇馬。「人生で1回あるかどうか分からない大事な5ヶ月間でした」
――三冠王者としてベルト持っている時と失った今では、何が違いますか? 安齊:三冠王者の時はメインイベントに出場させてもらうことが多かったんです。僕は第1試合からメインイベントまで全て重要な試合、どれが欠けてもいけないと考えています。 しかし、興行で第1試合からセミファイナルまで盛り上がりに欠けたとしても、メインがメチャクチャ面白い試合をしたら「今日の大会、面白かったね」とお客さんの印象に残ると思うんです。だからメインイベントは一番大事なんです。 僕がベルトを失って、最初の試合は8月24日後楽園、越中詩郎さんのデビュー45周年記念大会。 全6試合中、休憩前の第3試合。それが、ベルトを持ってないキャリア2年目の若手の“安齊勇馬”の価値です。 それを考えると「ベルトを持っていない自分って誰も見てくれないんじゃないか」って不安になります。だから、またベルトを獲り返したい。 よくタイトルマッチに負けた選手が「チャレンジャーとして最後尾から這い上がっていきます」とコメントしますが、そんなことを僕は一切思ってなくて、隙があればどんなタイトルでも狙っていきたい。 今回は同じユニット“ELPIDA(エルピーダ)”の本田竜輝と綾部蓮が世界タッグ王座に挑戦しますけど、僕もチャンスがあればタッグもシングルも、何でもベルトを狙っていこうとは思っています。
――そういう鈍欲さは三冠王座を失って初めて気づいたのですか? 安齊:三冠王座を手にする前も「どんなチャンスでも逃さず狙っていく」って、ずっと言っていました。 でもベルトを持つ喜びや、持っているからこそ見える景色があって…それを知ったので、心から「ベルトを持ちたい」っていう思いがありますね。 ――ベルトがある時とない時というのは全く違いますか。 安齊:ベルトを持っている時は、当然、責任感もでますし、何も知らない人が見て「あの人はベルトを持っているからチャンピオンなんだ」と期待もハードルも上がります。 そういうのは怖くもあり、楽しくもありますね。ただ僕の場合、「期待以上のものを見せてやろう」って弾けます。 ――3月30日大田区大会で中嶋勝彦選手を破り三冠王座を戴冠。その後、防衛戦を6回行いました。この期間は“レスラー安齊勇馬”にとってどんな5ヶ月間でしたか? 安齊: 3月30日までは、普通に頑張っていればなんら差し障りのない若手レスラーでした。 少しだけ期待を持たれながら、ただがむしゃらに、ひたむきに頑張っていれば、結果が伴わなくても許される若手。しかし3月30日を境に変わりました。 三冠王座を持つことは、「全日本プロレスという歴史あるプロレス団体を背負う」ということです。自分なりに責任を持って臨みました。 でも最初は全然ふさわしくなくて、「安齊がベルト持っているのか!」という批判の声もかなりあった。 だからチャンピオンカーニバルと防衛戦を通して批判の声を声援に変えてやろうと。それが目標の一つでした。