美容整形を繰り返して「ネコのようになりたい」と願ったセレブ、79歳で死去。美を追い求めて破綻した、その壮絶な人生とは?
*この記事は、フランスの新聞社「Le Figaro」グループが発行する「madame.lefigaro.fr」で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 【写真】「キャットウーマン」ジョセリン・ウィルデンシュタインの変遷を振り返る スイスのジェットセッター、ジョセリン・ウィルデンシュタインが12月31日に亡くなった。美容整形手術で手に入れた印象的な猫のような彼女の顔の裏には、あらゆる幻想をかき立てるような物語が隠されていた。 ジョセリン・ウィルデンシュタインは、その外見の劇的変化以前、どのような姿をしていたのだろうか? 彼女自身が昨年8月、自身のInstagramアカウントでその一端を公開した。この珍しいヴィンテージ写真は1980年代初頭に撮影されたものだが、皮肉にもほぼ誰にもわからない姿だった。写真の中で彼女は娘のダイアンと一緒に写っており、美容整形で手に入れた有名な猫のような顔とはかけ離れた顔立ちを見せている。実際、彼女が「キャットウーマン」という異名を持つ以前、ジョセリンはローザンヌ出身のスイス人として、上流階級の家庭に生まれ育ち、優雅で繊細な顔立ちをした女性だった。その後、31歳でフランスの裕福な美術商アレック・ウィルデンシュタインと出会い、彼と結婚し、ふたりの子どもの母となった。そして、彼が彼女の外見を劇的に変えるきっかけとなった人物でもある。
エキゾチックな猫への情熱
1977年、ケニアのサファリでジョセリンはミリオネアと出会い、恋に落ちた。彼らはともにアフリカに情熱を持っており、ジョセリンにはすでに10年間アフリカ大陸を探索した経験があった。ふたりはすぐに結婚し、ニューヨークのペントハウスに住み始め、家族を作った。しかし、最も彼女が活躍したのはケニアのオル・ジョギ自然保護区にある豪華な牧場で、そこでは200棟の建物、ふたつのプール、55の人工湖、366人の家政婦、そしてガラスで覆われた防弾の洞窟に住む2匹の虎を管理していた。 彼らが結婚して1年後、ジョセリンは夫の関心を失うことを恐れ、再び彼の興味を引くために美容整形手術を受けたと言われている。彼女がもっと自分を魅力的に見せたいと考えたのは、夫がエキゾチックな猫を好み、「もっと猫っぽい見た目」を求めたことに起因している。これにより、彼女は「キャットウーマン」という愛称を付けられることになったと、2008年に英国の新聞『デイリー・テレグラフ』は報じた。 当時、ニューヨークとマイアミを行き来していたソーシャライツのジョセリンは、まず目元に注力し、「オオヤマネコの目」を手に入れようとした。彼女はそれを「完璧」と考えていたのだ。この手術が、200万ユーロ(約3億2千万円)以上の費用をかけた長い手術のリストの第一歩となったが、残念ながら彼女が期待していた効果とは逆の結果を招いてしまった。『デイリー・テレグラフ』によると、アレック・ウィルデンシュタインが妻の変貌を最初に目にした時、「恐怖で叫んだ」と言われており、彼女を認識できなかったという。「彼女は狂っていた。彼女は顔を家具のように直せると思っていた。皮膚はそういうふうにはいかない。でも彼女は何も聞こうとしなかった」と、アレック・ウィルデンシュタインは1998年にアメリカの雑誌「ヴァニティ・フェア」に語った。 満足できなかった彼女は、その後さらに一連の美容手術を受け、再び外見を「改善」しようと試みた。その中には、唇、頬、あごへのコラーゲン注射、少なくとも7回のリフト手術、そして目の根本的な再建手術が含まれていると、『デイリー・テレグラフ』の記事は記している。最終的には、彼女の皮膚があまりにも引き締められていたため、まばたきさえほとんどできなくなったという。