倒産相次いだ「カプセルホテル」コロナ後の大変貌とは。徹底的な「持たない経営」でホテル事業の”弱点”を克服した「ナインアワーズ」に聞いた。
各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、その奥にある、経営哲学や歴史、ホスピタリティまでを紐解いていく連載「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」。 第13回は前編に続き、カプセルホテル『ナインアワーズ』が睡眠解析サービスと表裏一体で進める睡眠事業を解説。ホテル業態の新たな可能性を探る。 【画像】最安2000円台から宿泊可!おしゃれで清潔、睡眠データまで取ってくれるカプセルホテル「ナインアワーズ」の様子(10枚) インバウンド景気に沸くホテル業界。多くのホテルが好稼働を記録し、新規ブランドの開業も相次いでいる。だが、ホテル事業には特有の弱点がある。初期投資が大きく、景気の動向に大きく左右されがちなのだ。他事業に乗り出すのも一手だが、リスクを抱える恐れも……。
コロナ禍は、そんな業態ゆえの弱さが出た時期だった。2020年4月には、高級カプセルホテルで知られたファーストキャビン(東京)が自己破産するなど、多くのカプセルホテルが廃業に追い込まれた。 そんななかにあって、コロナを乗り越えたのが「ナインアワーズ」だ。ポイントは「睡眠事業」と、「持たない経営」にあった。 ■「睡眠データ」を売る、したたかなカプセルホテル会社 睡眠解析サービスで収集したデータを活用した「睡眠事業」を行っているナインアワーズ。睡眠解析サービスとは、宿泊者の眠りの深さ、いびきの音量、無呼吸になった回数と時間などを収集し、解析したレポートを提供するサービスだ。
【画像】最安2000円台から宿泊可! おしゃれで清潔、睡眠データまで取ってくれる…カプセルホテル「ナインアワーズ」の様子(10枚) このサービスを通じて同社は、年間10万件もの睡眠データを収集している。それも、すべて研究開発への活用や販売の同意を得ており、データの精度は、学術論文のエビデンスに使用しても問題のないクオリティ。これを使って宿泊業とは異なる事業を展開しているのだ。 睡眠事業の中心となっているのは、さまざまな研究者や医療機関、医療品メーカーにデータを提供して、疾病を早期発見し、早期治療につなげる仕組み作りだ。