観光分野の生成AI活用状況は? グーグル年次カンファレンスにJR東日本、星野リゾート、LINEヤフーが登壇
LINEヤフー、トラベルでも利便性の高い購買体験へ
顧客事例の先陣で登壇したLINEヤフーは、上級執行役員生成AI統括本部長の宮澤弦氏がコマース領域での取り組みを紹介。Yahoo!フリマサービスで、テキストや画像など複数の情報を処理できるVertex AI Gemini APIを利用し、ユーザーの出品時に入力した商品名やカテゴリ、画像から、商品説明文を自動生成できる機能を提供。出品の簡易性を高めている。 その結果を検証したところ、従来利用していたモデルよりも、文章の生成速度が平均4秒と約5倍速くなり、クオリティも改善。出品完了率も3%向上したという。 宮澤氏は「当社は複数のサービスを繋ぐことができるのが生成AIの強みと考え、より快適なユーザー体験を見出していきたい」と表明。検索領域でも、Yahoo!トラベルやYahoo!ショッピングで、チャット形式での購買体験の提供を予定していることを明かした。
生成AIは「試す」から「使う」段階へ
基調講演で先陣を切って登壇したグーグルクラウド日本代表の平手智行氏は、「生成AIを駆使し、日本のビジネス変革を加速するために邁進したい」と意気込むと同時に、「ビジネスの現場では、AIは試す段階から使う段階に確実にシフトしている」と、多くの企業でAIの活用が進んでいることを強調。その基盤となるのが、大容量のコンテキストの扱いが可能で、かつ、テキストや音声、画像、動画など異なる形式のデータを同時に処理できる生成AIのGemini 1.5 Proであるとアピールした。 また、その活用方法も「モデルの活用に注力するフェーズから、生成AIエージェントの活用へと急激に移行している」と説明。AIエージェントとは、特定の目的を達成するために、人の介在なしに複数のタスクを考え、実行する自律型のシステムのこと。 LLM(大規模言語モデル)単体では、メールのドラフト作成や会議の要約など、特定のタスクの実行のみに留まるが、平手氏は「AI エージェントを通じて既存のアプリケーションと連携することで業務全体をカバーでき、業務効率化や自動化が実現される」とし、今後は企業において生成AIエージェントの構築・活用が本格化していくと話した。 そしてグーグルは「大胆かつ責任あるAI」という理念のもと、「Geminiをはじめ、ビジネスの現場で信頼して使えるAIアプリケーションを開発運用するためのフルスタックのサービスラインナップを提供している」とアピール。平手氏をはじめとするスピーカーが、Google CloudとGoogle Workspaceの最新製品をはじめ、各種サービスを紹介した。
トラベルボイス編集部