【お正月は読書三昧】イラストレーター平松昭子さん「歳を重ねるほど言葉が深く届く」と愛読する示唆に富んだ本
誰しも人生の傍に本の存在があるのではないでしょうか。 時に新しい扉を開き、背中を押し、心を癒してくれることも。素敵に年齢を重ねる13人の方々の〝かけがえのない本〟を聞いてみました。 【画像一覧を見る】
もうダメだ、という時に立ち上がる力をくれる。
「父が小さな工場を経営していて、取引先が倒産したり波乱万丈の世界を見て、早く仕事をしたいと思っていました」 そんな平松昭子さんの、18歳の誕生日にお母さんがプレゼントしてくれたのが『風と共に去りぬ』の原作本です。 「父親の代わりに一家を支える強く逞しいスカーレットの生き方が描かれています。ピンチになるたびに、絶対大丈夫!どんなに落ちても明日考えよう、という楽観的な性格も私と似ていて、不屈の精神とビジネスの基本を学びました」 早く自立したかった平松さんは大学をやめて専門学校に。卒業時はバブル後の就職氷河期で、なんとか紹介で入ったデザイン事務所も辞めることになり、フリーランスしかないと肩を落とします。 「もうダメだ、という時に、ボロボロになっても何度も立ち上がるスカーレットを思い出すと、踏ん張れるんです」
性格が似た宇野先生から生き方のセンスを学んだ。
着物が好きになった30代で手にした『宇野千代 きもの手帖 お洒落しゃれても』も学び多き一冊。着物の着こなしだけでなくマインドとセンスも参考に。 「20代で千代さんのエッセイはほぼ読破。落ち込んでもやる気が勝手に出てくる性格もそっくりで生き方や考え方に影響を受けました。逆境に負けない千代さんは、立ち上がり方も教えてくれるんです。この本は、おしゃれをすると元気がでるよと背中を押し、発明家っぽい視点や皆が求めるアイデアの提案にも膝を打ちます。好きなことを仕事にしてお金を稼ぐにはセンスが必要と痛感しました」
不安や執着から解放されこの先の人生が楽しみに。
そして50代。これからの人生の楽しみが一気に増えたという篠田桃紅さんの『一〇五歳、死ねないのも困るのよ』。 「とても謙虚なのに、潔くて自由な生き方が素敵で、歳を重ねるほど言葉が深く届く示唆に富んだ本です。更年期以降は不自由な部分も増えネガティブになりがちだけど、小さな日常の発見を喜びに変えようと繰り返し教えてくれます。100歳を超えた大先輩が、人間という生き物について解説する集大成。どんな時もこれがあるから安心。心の拠り所です」