「社会人の学び直し」と「リスキリング」はどう違う?今、リスキリングが重要視されている理由とは?
リスキリングすべきはデジタル関連。特にAIは避けては通れない
世界経済フォーラムの「Future of Jobs Report 2023」では、今後5年間でビジネスパーソンに必要とされるコアスキルの44%が変化すると予測されています。 そして、「2027年までに重要性が増すスキルトップ10として、以下の10のスキルを挙げています。
また、「最も成長著しい職種トップ10」として以下の職種を挙げていますが、ほぼすべてがデジタル系分野になっています。これらから考えると、リスキリングのテーマとしてはデジタル、特にAI分野は避けては通れないと思われます。
「今の仕事+AI」の可能性を考えて上司に提言し、AIを「実務化」しよう
デジタル、特にAI分野のリスキリングが有効であるとお伝えしましたが、前述のとおり、リスキリングとは新しいスキルを習得して「新しい業務や職業に就く」こと。リスキリングは組織(企業)が実施責任を持つため、従業員向けにオンライン学習用のコンテンツを用意する企業は多いですが、ただ学ぶだけではリスキリングとは言えません。 ただ、実務経験がないと新しい仕事に就きにくいのも事実。特にAI分野は、たとえ知識はあったとしても実務未経験者が就くのは難しいでしょう。通常であれば、企業側が従業員の実務を経験できるようフォローすべきですが、そこまでの体制が整っていないケースも多いと思われます。 そこでお勧めしたいのは、現在携わっている仕事においてAI導入の可能性を探ること。今後AIは、必ずどの仕事にも関わってくるようになります。たとえば営業×AI、経理×AIなど、今の仕事においてAIを導入できる可能性を考えたうえで、上司に提言するといいでしょう。 たとえば、業務を効率化するためにAIを導入する案や、AIを活用して新しい事業やサービスを生み出す案など、さまざまな可能性が考えられます。そして、その案が通り具体的に検討することになれば、AIに関する実務経験を得ることができます。その経験をもとに、社内のさらに専門的な部署に異動したり、AI関連職種に転職したりすることも可能になるでしょう。 アイディア創出のために前提となる知識は、会社が用意しているオンライン学習講座などで学んでおきましょう。もしも勤務先にリスキリング支援の仕組みがない場合は、YouTubeなどを見ればいくらでも学びとなるコンテンツがあります。AIといってもさまざまな分野があるので、まずは自分が興味を持てそうな分野、もしくは現在の仕事に絡められそうな分野を学んでみるといいでしょう。 ◆「グリーン分野」も将来的に成長が期待できる有望テーマ AI以外のテーマとしては、再生エネルギーや環境保全などの「グリーン分野」もお勧め。グリーン・スキルを習得すれば、将来の可能性が広がります。 グリーン・スキルとは、持続可能で資源効率の高い社会で暮らし、発展し、支援するために必要な知識、能力、価値観、姿勢のこと。ヨーロッパではいち早く、各企業が気候変動対策や脱炭素化に向けて動いており、グリーン分野でのさまざまな取り組みが進んでいます。それに伴い、グリーン・スキルを身につけるビジネスパーソンが増え、新たな雇用(グリーン・ジョブ)も創出されています。 日本ではまだまだこれからの分野ではありますが、将来的には確実に対応が必要とされる分野であり、まだ注目度が高くない今が飛び込むチャンス。脱炭素化や再生エネルギーについて学び、自社でできることはないか考え、経営に提言することで実務化していきましょう。 なお、現業務×〇〇(AIやグリーンなど)のアイディアを出しても、上司がまるで動こうとしない場合は、転職を考えるのも一つの選択です。あらゆる企業がAIを導入して生き残りを図ろうとしている今、先々を考えた部下の提案に対してNOという企業は、将来性が危ぶまれます。現在の職務経験を活かして、リスキリングに力を入れている企業やAIなど有望分野に積極的に取り組もうとしている企業に転職したほうが、キャリアの選択肢を増やせるでしょう。