電車の遅延で会社に遅刻し、給与をカットされました。「遅延も見越して出社しろ」と言われましたが、あまりに理不尽ではないですか?
毎朝電車で通勤している人で、人身事故や車両トラブルにより電車の遅延に巻き込まれた経験をしている人も少なくないでしょう。 そこで本記事では、電車の遅延による給与カットは不当なものではないのか、給与カットされないためにはどのような対策を行えばよいかなど紹介します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
電車遅延による遅刻の給与カットは法律的に問題ない
結論からお伝えしますと、電車遅延により会社に遅刻した場合に給与をカットされるのは、法律的に問題ありません。ただし、実際に遅刻分を給料から引くかどうかは、会社のルールによって異なるのが現状です。 ■ノーワーク・ノーペイの原則とは 企業と労働者の関係性では、「ノーワーク・ノーペイの原則」という言葉が使われています。ノーワーク・ノーペイの原則とは、賃金は働いたら支払う、働かなかったら支払わないという意味です。 なお、この根拠は民法第六百二十四条であり、その内容は以下の通りです。 「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」 つまり、賃金は原則、労働に対する対価として支払われるものであり、労働がなければ支払う必要がないともとれるでしょう。電車の遅延による遅刻は、労働者側に問題はありませんが、会社にも原因はありません。 そのため、ノーワーク・ノーペイの原則が適用され、電車の遅延による遅刻に対して、企業がその分の給与をカットするのは問題ないという流れになります。 ■ノーワーク・ノーペイの適用範囲 原則、ノーワーク・ノーペイの適用範囲は、休日にもおよびます。遅刻や早退、欠勤だけではなく、産前産後休業や育児休業、介護休業なども該当します。法定休暇制度として定められているのは、あくまで休暇の取得のみで、通常賃金は支払われません。 しかし、ノーワーク・ノーペイのルールには例外があります。企業側に原因がある場合、例えば経営不振による工場の停止や休業などが発生した際は、企業は労働者に対して賃金を支払う義務が発生します。 この義務は、労働基準法第二十六条によって「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と定められています。