「社会人の学び直し」と「リスキリング」はどう違う?今、リスキリングが重要視されている理由とは?
リスキリングは、テクノロジーの進展による「技術的失業」を防ぐ有効策
今話題のChatGPTなど「生成AI」の存在も、技術的失業を加速させる要因となるでしょう。 さまざまなネット系企業が、生成AIと連携することで新しいサービスを生み出しています。たとえば、あるオンライン旅行通販会社のサイトでは、日程と予算、目的などを入力すれば最適な選択肢を提示し、宿泊予約だけでなくフライト、アクティビティ、レンタカーなどの予約まですべて行うことができます。 これにより、減ると予想されるのが秘書職のタスク。これまで役員が出張するたびに、秘書が30分や1時間かけて行っていた宿泊施設や新幹線・航空チケットなどの手配業務が、ネット上で一瞬にして終ってしまうからです。タスクが減れば、当然ながら秘書のヘッドカウントも減らされることになるはず。役員1人に対して秘書を1人つけるのではなく、たとえば1人の秘書が役員3人を見ればいいのではないか、という議論になることでしょう。 そして実際、生成AIが雇用や採用に影響を及ぼしつつあります。 米IBMのCEOアービンド・クリシュナ氏は、インタビューで「AIで代替可能な職務が判明するまで、新規採用を一時停止する」と発言しています。加えて、人事などバックオフィス部門約2万6000名の30%に当たる、約7800名の雇用が消失する可能性を示唆しています。 このような「技術的失業」を防ぐために有効なのが、リスキリングです。テクノロジーの進展に伴い、既存の仕事がAIやロボットに置き換わる一方で、テクノロジー関連、すなわちデジタルやAI分野の仕事は増えています。無くなる仕事に就いている人が、テクノロジー分野の仕事にスムーズにシフトできるのであれば、技術的失業を未然に防ぐことができますが、実際は該当する人の多くは技術に関するスキルが不足しているため、新しい仕事にシフトできず、技術的失業が発生することになります。 自身の仕事を失わないためにも、将来のキャリアの選択肢を増やすためにも、今後必要とされる分野のリスキリングを行うことは何より重要。あらゆるビジネスパーソンにとって、もはやリスキリングは必要不可欠なことなのです。