うなぎ界のノーベル賞!?エサに『大豆イソフラボン』を入れ“メス化”に成功!「大きい・うまい・安い」の養殖うなぎは実現となるか
土用の丑の日と言えば「うなぎ」。近年の価格高騰で買いづらくなっていますが、近い将来、大きくておいしいうなぎを“安く”食べられる日が来るかもしれません。うなぎ評論家・高城久さんが“うなぎ界のノーベル賞級”と呼ぶ発明とは?うなぎの今について情報をまとめました。 【画像を見る】2009年に世界で初めて「産卵場所」を突き止める 36年間にわたる調査「執念のローラー作戦」とは?
値上がりするうなぎ…稚魚の漁獲量は約60年前の約30分の1
今年のうなぎは、高かったと言われた去年より値上がりしています。その理由としては、市場に流通しているうなぎの99%が「養殖」で、天然の稚魚「シラスウナギ」から育てているのですが、このシラスウナギがとれなくなっているためです。 約60年前は232トンあったシラスウナギの国内漁獲量は、乱獲などで減少し、現在は7トン。絶滅危惧種に指定されましたが、今も減少の傾向にあります。
世界初の「完全養殖」に成功 産卵場所の特定に36年…気の遠くなる努力とは?
そもそも謎が多く、増やすのが難しいうなぎですが、2010年、日本が世界初の「完全養殖」に成功しています。完全養殖とは、人工的に卵をふ化させて、その卵から成魚を育て、その成魚が産卵した卵をもとに再び人工ふ化を行うことです。 うなぎは産卵の時期・場所が不明で完全養殖は難しいとされていましたが、2009年、東京大学の塚本勝巳氏が世界で初めて産卵場所を特定しました。その場所とは、日本のはるか南、西マリアナ海嶺の南端。産卵エリアをピンポイントで突き止めたのです。 1973年から36年間にわたる「執念のローラー作戦」でした。次のような調査方法です。 ・海を“100km四方のマス目”に分け、それぞれの場所ですくってウナギの稚魚がいるかどうかを実施。 ・複数か所で稚魚がとれた場合、「より小さい稚魚がとれた場所=より産卵場所に近い」とみなし、調査の方角を決め、卵のある場所を特定していく。 ・卵が取れるなどしたら、100km四方のマス目を徐々に小さくし、最終的に28km四方まで絞る。 さらに、産卵の時期(6月の新月ごろ)や環境(水温・水圧・エサ)、移動の流れなども判明しました。ただ、うなぎが日本から産卵場所に行くルートは不明のままで、最近ではうなぎに最先端のセンサーをつけて追いかけているものの、まだ分かっていません。 ただ、完全養殖のうなぎは非常に高価です。現在高騰していると言われる天然のシラスウナギは1匹500~600円ですが、完全養殖のシラスウナギは1匹1800円(去年)。2016年は4万円でした。この価格が3分の1になれば天然ものと同程度、そしてさらに下がれば、より安くうなぎが食べられるようになるかもしれません。