【共同親権でも話題に】離婚後の子育て「養育費」の相場はいくら?
離婚後も父と母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を可能とする改正民法が衆議院本会議で可決、成立しました。共同親権についてはさまざまな声があがっており、離婚後の子育てについて改めて注目されています。その中で、特に重要な「養育費」について、どのようにして決めるのか、相場はいくらなのかを解説します。また、親の収入や子どもの年齢に応じた養育費の目安となる一覧表も載せているので、参考にしてみてください。 【図表】子どもの数別「養育費」の平均月額は?
■養育費の基本理念 養育費とは、子どもが経済的に自立するまで間、子どもの生活や教育のために必要な費用のことです。両親は共に子どもを養う責任(扶養義務)があり、離婚後もこの責任を果たさなければなりません。そのため、子どもを養育する親に対して、もう一方の親は養育費を支払うことで金銭的なサポートをします。 離婚後の養育費について、民法766条に次のように記載されています。 「父母が協議上の離婚をするときは(中略)、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」 つまり、養育費を受け取ることは子どもの権利であるため、養育する親は、もう一方の親に、養育費をしっかり請求し、支払う側はその義務を果たさなければなりません。 また、養育費を支払う義務は「生活保持義務」に基づくものとされています。生活保持義務とは、親(扶養義務者)と同じ水準の生活を子ども(被扶養者)にも保障する義務のことです。養育費は、そのための費用ということになります。 同じような言葉で「生活扶助義務」という言葉があります。これは扶養義務者の生活に支障のない範囲で被扶養者を扶養する義務となります。自分の親や祖父母などの扶養義務はこれに当たります。「生活扶助義務」よりも「生活保持義務」の方が責任が重く、養育費は「生活保持義務」なので、たとえ余力がなくても、その資力に応じて負担すべき義務となります。つまり、「養育費」は無理してでも支払わなければならないものといえるでしょう。 ■養育費の平均月額は5万円 養育費は、親の収入、子どもの数、子どもの年齢などで適正な金額が変わってくるので、個別に具体的な事案に応じて決められるものです。そのため、平均額と比較をしてもあまり意味がありません。ただ、どのくらいの金額が多いのかを知るには平均額が目安になります。 こども家庭庁「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」から、母子世帯、父子世帯ごとの子どもの数別養育費の平均額をみてみましょう。