原発地下の「活断層」とは? 再稼働への影響は?
5月22日、原子力規制委員会は、敦賀原子力発電所(福井)2号機の下にある断層について、「活断層である」という専門家委員会の評価結果を了承しました。敦賀に限らず全国の原発を再稼働するかどうかという判断は、その地下に活断層があるかどうかということに大きく左右されるため、注目されています。
将来も活動する可能性のある断層
「活断層」とは、地質学的に“新しい”とされる13~12万年前まで活動しており、将来も活動する可能性のある断層のことです。地震は活断層の深い部分がずれることによって起こります。日本にはこの活断層が多くあるのです。そして原発の「耐震設計審査指針」では、安全上重要な施設を活断層の真上に設置することを認めていません。 原子力安全・保安院は2011年3月の東日本大震災の後、各地の活断層の活動が活発になったことから、原子力発電所周辺の活断層について調査してきました。 2012年4月、専門家らが敦賀原発の活断層を調査したところ、2号機近くの地下を走る亀裂が活断層である可能性があり、敷地内に走る「浦底断層」という活断層と連動する可能性もある、と指摘しました。この指摘を受けて保安院は、事業者である日本原子力発電(原電)に対して再調査を指示しました。 同年12月には、原子力規制委員会の専門家会議がその会合で、2号機の直下にある断層を活断層の可能性が高いと判定しました。そして今年5月、同じ専門家会議がそれを「耐震設計上考慮すべき活断層である」と断定する報告書を正式にまとめました。原子力規制委員会は、全国6カ所の原発で周辺の断層を調査してきましたが、結論が出たのは初めてです。 そして22日に原子力規制委員会がこれを了承しました。原電はこれまで通り同委員会の見解に反論し、独自の調査結果を委員会に提出すると思われます。
廃炉を迫られる可能性が大きい
原子力規制委員会には、事業者に対して廃炉を求める権限はありません。しかし活断層の真上に原子炉などを設置することが認められていない以上、活断層ではないという根拠を原電が示せない限り、同委員会は再稼働を認めないと思われます。原発はたとえ運転しなくても維持費がかさむため、停止の長期化にともない、原電が廃炉を迫られる可能性は大きいでしょう。 原子力規制委員会は敦賀原発のほか、大飯原発(福井)、東通原発(青森)、志賀原発(石川)、美浜原発(福井)、高速増殖炉もんじゅ(福井)の周辺の活断層を、調査中または調査予定でいます。 また同委員会は今年7月の施行をめざして、原子力発電所の新しい安全基準を策定中です。その骨子案では、活断層の定義(過去に活動していた時期)を従来の「13~12万年前以降」から「約40万年前以降」に拡大することになっています。そうなると、泊原発(北海道)や柏崎刈羽原発(新潟)の敷地内にある断層も活断層だとみなされ、再稼働への影響が避けられなくなると見られています。