カズ、北澤メンバー外で「僕が残った」 マイアミの奇跡から2年…日本代表入りは「複雑でした」【インタビュー】
王国ブラジル相手も「やれないことはない」
相手は初の五輪金メダルを目指してA代表の主力をオーバーエイジで加えた本気の王国ブラジル、一方の日本はオーバーエイジを使わない若いチーム。圧倒的な劣勢が予想されるなか、唯一の狙いどころとされたのがアウダイールを加えた急造守備陣の連係だった。 「狙っていたかと言われると、どうなのかな。確かに試合前には連係について話はしていたけれど、正直に言えば『まあ、でもね』っていうところですよ(笑)。ピッチに立つ限りは勝ちたいと思って準備はしましたけど、実際には自分たちがどこまでできるかと。もちろん、できるなんていう確信はなかったですけど」 伊東の“虎の子”を守って1-0で勝ったものの、シュート数は日本の4本に対してブラジルは28本。GK川口能活の神セーブなどで守備一辺倒の試合だったように語られてきたが、実際にピッチの上で戦った伊東の思いは少し違った。 「やっていて、やれないことはないなと。確かに個の能力は違ったけれど、まったくできないことはないと。ちょっと前にあの試合をフルで見返す機会があって、90分守り倒したわけではないなと。最後の15分は守ることに専念しなければいけない状況だったけど、その印象が強すぎる。僕自身も守り倒したように思っていたけれど、意外とそんなでもない。変な話、もう1点取れてもというところもあったんで」 当時「世界」は未知だった。五輪は28年ぶり、ワールドカップ(W杯)初出場も2年後だ。年代別でも前年の95年U-20W杯に初めて予選突破して出場したが、79年U-20W杯も93年U-17W杯も開催国としての出場。選手たちはもちろん、サポーターもメディアも「世界」が分からなかった。 「世界大会は出たことがなかったし、海外のチームと試合することもあまりなかった。たまにやっても練習試合。ガチの試合でどうなるのか、分からなかった。それでも、実際にやってみて思ったのは、差はあるけれどできないことはない、ということ。あの試合が、ちょっと自信になったのは確かですね」