カズ、北澤メンバー外で「僕が残った」 マイアミの奇跡から2年…日本代表入りは「複雑でした」【インタビュー】
アトランタ五輪で「マイアミの奇跡」を起こした伊東輝悦が現役引退
「鉄人」がJリーグのピッチを去った。今季限りの引退を表明していたアスルクラロ沼津のMF伊東輝悦が11月24日、松本山雅FCとのJ3リーグ最終戦に途中出場。32年間の選手生活にピリオドを打った。1996年アトランタ五輪ブラジル戦では「マイアミの奇跡」を呼び込む決勝ゴールも決め、Jリーグが開幕した93年から走り続けてきた記録にも残る“鉄人”伊東に話を聞いた。(取材・文=荻島弘一) 【写真】「50歳の体じゃない」 “現役さながらの肉体美”「腹筋割れてるの凄い」 ◇ ◇ ◇ アトランタ五輪代表だった伊東の名を一気に広めたのが、ブラジル戦。劣勢のなかで相手守備の乱れを逃さず、ゴール前に詰めて流し込んだゴールで、28年ぶり出場の日本は優勝候補から金星を挙げた。繰り返し聞かれてきたであろう歴史的なゴールを、伊東はにこやかに振り返った。 「嬉しいですよ。今でも言われるのは。(五輪開催の)4年に1回は必ずあの場面も出てくるし。32年もやっているから昔のことは忘れたことも多いけれど、もちろんブラジル戦は覚えています」 MF前園真聖からパスを受けた左サイドのDF路木龍次がブラジルゴール前にロングボール。FWの城彰二が追いかけると、相手GKジダとDFアウダイールが交錯して転倒。ゴール前に詰めていたのが、ボランチの伊東だった。自陣でボールを奪ったMF服部年宏からパスを受け、下がってきたパスを城に通したあと、そのボールが前園に渡る時にはゴール前に走り出していた。 「ゾノ(前園)さんに渡った時、ゴールまではあれですけど、チャンスにはなりそうな感じはありましたね。もともとアタッカーだし、攻撃は好き。五輪の時は一列下がった位置でプレーしていたけど、もともと持っていたアタッカーの感覚がみたいのが、その時出たのかなと」 自陣から60~70メートル、前園や中田英寿ら攻撃的な選手を追い越してたどり着いた相手ゴール前に、ボールが力なく転がってきた。歴史に残る一発を決める大チャンス。もっとも、伊東自身は打つかどうか迷ったと振り返った。 「めちゃくちゃ迷いました。ボールがゴールに向かっている感じがしたし、何もしなくてもゴールに入っていたかもしれない。(城)彰二が触っていたら、ゴールを奪うことになる。やっぱり、最終的には触りましたけど(笑)。彰二が触っていないと聞いて良かったと思いました」