ハリス氏、ポリマーケットでトランプ氏を大きくリード:米予測市場動向
ハリス氏の逆転劇
カマラ・ハリス米副大統領は、8月8日に予想市場ポリマーケットでドナルド・トランプ前大統領に並んだ後、翌日には逆転し、現在は7ポイントリードしている。 ハリス氏の当選に賭ける「イエス」シェアは、米国12日の朝の時間帯にポリマーケットで52セントで取引されていた。つまり市場は、ハリス氏当選の確率が52%と見ているということである。 暗号資産ベースのベッティング(賭け)プラットフォームであるポリマーケットでは、各シェアには、予想が当たれば1ドル相当のUSDコイン(USDC:米ドルと対価で取引されるステーブルコイン)が支払われ、当たらなければ支払い額はゼロとなる。トランプ氏のシェアは、45セントで取引されていた。 1カ月前にも満たない頃、ジョー・バイデン大統領が選挙戦から離脱してハリス氏を支持する前は、トランプ氏の勝率は72%にも達していた。 現在のポリマーケットの水準は、世論調査集計と比較すると、ハリス氏のリードが大きくなってる。リアル・クリア・ポーリング(Real Clear Polling)の世論調査平均では、ハリス氏のリードは0.5ポイントだ。 一部の主要世論調査では、トランプ氏が依然優勢である。7月末に実施されたハーバード主催の世論調査ではトランプ氏が4ポイントリード、8月4日まで実施されたCNBCの最新世論調査では、トランプ氏が2ポイントリード、共和党寄りのRasmussen Reportsでは、トランプ氏が5ポイント優勢となっている。 民主党の大統領候補トップに躍り出て以来、ハリス氏は主要メディアで熱烈な報道を受け、セレブリティからの支持も得ており、一方でトランプ氏の最近の公の場でのパフォーマンスは、彼のアドバイザーたちを動揺させていると伝えられている。
予測市場での駆け引き
ただし、取引の場であるという特異性から、ポリマーケットにおける勝率の逆転は、誇張されすぎているかもしれない。 CSPTrading.ethというハンドルネームで活動するある政治ベッター(賭けをする人)は、選挙市場でのパニック売りと集団思考を目の当たりにしているという。 「トランプ氏のシェアを70セントで買い、価格の下落を見続けている誰かが、ポジションを清算するために、価格を下げようとしている」と、彼はCoinDeskのインタビューに答えた。 ただ、「マーケットメーカーは値動きへのエクスポージャーをヘッジするために方向性のある買いを入れ、その後お互いに売り叩き合うので、自己充足的予言のようなものでもある」と付け加えた。 CSPTrading.ethは、州レベルの市場(例えば、アラスカ州やインディアナ州でどの政党が勝つか)の一部において、あるトレーダーが「急速に減価する資産」を売り叩き、他のトレーダーがそれに追随することを指摘している。「彼らは取り残されたくないのだ」と、彼は説明する。 CSPTrading.ethによれば、ポリマーケットの様々なバランス・オブ・パワー契約には裁定取引の機会があり、トレーダーはトランプ氏の再選に対するエクスポージャーをメイン契約のコストよりも安く買うことができる。 例えば、共和党が上院で勝利する確率は78%と予測するモデルもあるなか、共和党が大統領選と上院選を制し、民主党が下院選を制する可能性に賭ける契約は、現在12セント(12%の可能性)で取引されているが、共和党が大統領選および上下両院選のすべてを制する可能性に賭ける契約は28セントである。 これらを合わせると40セントで取引されていることになるが、一方トランプ氏はメイン契約では46セントで取引されている。