「構造の問題」FC町田ゼルビアは人への依存度が少し高い。相手を引き込む罠なのか?【戦術分析コラム】
J1昇格初年度ながら首位を走っていたFC町田ゼルビアが苦しんでいる。リーグ戦では直近6試合が1勝3分2敗で、首位の座をサンフレッチェ広島に明け渡した。町田はなぜ勝てなくなってしまったのか。前編では本来の戦術的な強みをひも解いていくとともに、その中で生まれた構造的な問題に触れる。(文:らいかーると) 【2024明治安田Jリーグ スケジュール表】TV放送、ネット配信予定・視聴方法・日程・結果 J1/J2/J3
FC町田ゼルビアはなぜ空中戦を選ぶのか?
FC町田ゼルビアの記事をあげるタイミングとしては最悪かもしれない。リーグ戦ではとうとう首位から陥落し、YBCルヴァンカップではアルビレックス新潟の前に完敗してしまったタイミングだからだ。もちろん、新潟とのセカンドレグで意地を見せたことで町田がまだ死んでいないことを証明したことも紛れもない事実だ。一方で、少しばかりの不安を残す8月シリーズの結果だったこともまた事実だろう。 リーグ戦で優勝争いを繰り広げているサンフレッチェ広島は多くのカップ戦を残している。広島と比べるとすべてのカップ戦に敗退した町田は、日程的に利がある。優勝するには絶好のチャンスだと補強も敢行し、気がつけば開幕戦ではいなかった選手たちがスタメンに名を連ねるようになっている。このビックチャンスを活かせるのかをみんなで考えていきたい。 町田への最初の印象は、青森山田高校サッカー部への一般的なイメージを具現化しているようだった。オ・セフン、ミッチェル・デューク、桑山侃士を空中戦の的として、相手の空中戦の弱いポイントで勝負させ、セカンドボール拾う隊を必ず周りに配置する姿は、まさに青森山田のイメージそのものだったと言えるのではないだろうか。 ロングボールによる陣地回復によって、相手陣地でサッカーを展開することの目的は、自分たちの負ける確率を下げることを主目的としている。相手陣地でボールを失ったり、不運な事故が起きたりしても、自分たちの失点に直接的に繋がってしまうケースはほとんどない。失点の確率が常に低い状態でプレーすれば負けにくいことは当然の理である。