認知症患者が同じものを何度も買ってくるとき、ただ怒るだけになっていませんか?お互いにストレスを抱えない、ベストな伝え方とは
◆暑い日に厚着をする/ 寒い日に薄着をする ×ついつい: 熱中症になるから脱いで 〇こう言う: 汚れてきたから洗濯しようね 一般的に、加齢とともに暑さや寒さを感じづらくなると言われています。認知症では、見当識障害で季節がわからなくなっている上に、五感の機能が低下し、さらにその傾向が強くなります。 かといって、無理やり服を脱がせたり、着替えさせたりするのは禁物です。本人は季節に合った服を着ていると思っているので、驚きや恐怖を感じ、抵抗するのは当然のこと。 「汚れてきたから洗濯しましょう」「寝巻に着替えましょう」など理由がわかるように説明し、落ち着いたら着替えを手伝うようにします。 着てほしくない服は、本人の目につかないところにしまっておくのも一案です。 認知症の人の心の中:今日はちょっと肌寒いから暖かい服を着よう。え、暑くなんてないぞ?
◆トイレを手伝わせてくれない ×ついつい: 早くトイレに行かなきゃ!もれちゃうよ! 〇こう言う: トイレに行くとすっきりするよ。私が付き添うから トイレに行くというのは極めてプライベートなことなので、認知症の人でも他人に言われると恥ずかしく感じたり、余計なお世話と思ってしまったりすることがあります。 また、他の人に聞こえるような大きな声で言われると、さらに否定的な気持ちになってしまいます。トイレのような個人的なことを、他人に急かされることで自尊心が傷ついてしまうこともあります。 あるいは、自分では尿意や便意を感じにくい認知症の人も多いため、自分の行動を他人に支配されるような気持ちが湧いてしまうこともあります。本人の共感を得ることと、自尊心に配慮することが大事です。 認知症の人の心の中:トイレくらい自分でできる!関係ないのに余計なお世話だ ※本稿は、『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです
佐藤眞一,島影真奈美