秋ジャガ成功の秘訣は、植えつけの深さにあり!【やさいの時間8・9月号こぼれ話】
『やさいの時間』8・9月号の「ようこそ!ユウキの有機菜園」では、秋ジャガの栽培を紹介しています。タネイモの植えつけ時期は8月下旬。誌面で紹介しきれなかった内容を取り上げる「こぼれ話」では、植えつけ前に知っておきたい「秋ジャガ成功の秘訣」をお伝えします。 みんなのジャガイモ栽培の写真
深植えも浅植えもNG、深さ10cmがちょうどいい!
ジャガイモはタネイモと地表面の間にイモができるため、イモが育つスペースの確保に深さが関係します。浅いとイモが地表面に露出しやすく日光に当たり緑化してしまうので、頻繁に土寄せしなければなりませんし、収穫量も少なくなります。けれど十分に深ければよいかというと、地温との関係や、出芽までの時間がかかるなどの問題が出てきます。 タネイモを植えつける深さは10cmがちょうどいい理由は、秋ジャガは早期の出芽(地表面に芽が出てくること)をスムーズにして、初期段階で順調な生育をさせるためです。タネイモは、切らずにそのまま植えつけます。
日本の夏は暑くて苦手
ジャガイモは冷涼な気候を好みます。生育適温は昼温20℃、夜温10~14℃で、30℃を超えると枯れるくらい暑さは苦手です。 秋ジャガは、高温期に栽培をスタートさせ、生育初期から夜の時間が長い短日条件下になって茎葉の繫茂量が不足する中イモの肥大が始まり、寒くなるまでの短い生育適温期間で十分にイモを肥大させなければなりません。この期間をより長く確保するために、深く植えてゆっくり出てきてもらっては困るのです。スムーズな出芽で初期段階の順調な生育を成功させれば、安定した収穫量と品質が期待できます。
ジャガイモも苗半作
秋ジャガ植えつけ適期は生育限界温度以上であるため、タネイモの腐敗を招きやすいことも注意が必要です。タネイモを切らずに植えるのはそのため。植えつけの深さ10cmの場合、タネイモは40~50gが目安ですが、できるだけ大きいものを使うほうがよい結果になります。大きいタネイモの芽は大きいですし、デンプンの量も多いので、その後の育ちもよくなりますよ! 8・9月号では、放送「里山菜園 有機のチカラ」の「耕さない!ダイコン栽培」も掲載しています。秋菜園も佐倉流有機栽培を楽しみましょう! 講師/佐倉朗夫(さくら・あきお) 元明治大学農場特任教授。有機栽培研究家。神奈川県農業総合研究所や民間企業等で、有機栽培の研究、普及活動に取り組んできた。できるだけ手をかけず、可能な限り自然にまかせる野菜作りを理想としている。『家庭菜園 やさしい有機栽培入門』(NHK出版)など著書多数。 次回の「こぼれ話」は、宮古島の島野菜・第二弾をお届けします。お楽しみに!〈9月上旬公開予定〉 ●『やさいの時間』編集部によるテキストこぼれ話。誌面で紹介しきれなかったお役立ち情報を、ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で公開!