現役東大院生の昆虫研究者が語る「頭を使う」虫採りとは? 戦略と実践で楽しみながら学ぶコツ
子どもたちにとって、夏の楽しみの一つは昆虫採集だろう。里帰りのときに、おじいちゃんが近所の野山で捕まえてくれた昆虫に目を輝かせる……それは今の時代でも変わらないようだ。 【写真】家にあるもので簡単に作れる虫とりトラップ2種!昆虫ハンターの視点が詰まった図鑑を実際に見る 昆虫研究者としてNHK「ダーウィンが来た!」にも出演した現役東大院生の牧田習さん(27)も、虫採りに興味を持ったきっかけは「おじいちゃんが採ってきたミヤマクワガタ」だったという。 牧田さんが最近出版した昆虫図鑑『昆虫ハンター・牧田 習と親子で見つけるにほんの昆虫たち』(日東書院本社)では、昆虫の魅力だけでなく、虫採りのコツもふんだんに紹介しているが、採集では体だけでなく「頭を使う」ことも大切だという。虫好きの少年がどのようにして世界中を飛び回る昆虫ハンターへと成長したのか、頭を使う虫採りとはどういうものか、ご本人に語ってもらった。 ***
おじいちゃんが採ったクワガタに魅了され、見つからないゲンゴロウにドはまり…
――牧田さんが昆虫に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。 3歳の頃、祖父がオスのミヤマクワガタを採ってきて見せてくれたのがきっかけです。初めて見る独特な見た目や、予測不能な動きに、「なんでこんな形をしているんだろう」「どうしてこんな動きをするんだろう」といういろいろな疑問が一気に湧き出たことを覚えています。祖父は自然や生き物が好きで、よく一緒に近くの草むらに行ったりして虫採りをしました。僕にこの道を進むきっかけを与えてくれた1人ですね。 ――そこからどのようにして昆虫研究者への道を歩んだのでしょうか。 小学校低学年の頃に昆虫の飼い方図鑑で見た、ゲンゴロウの魅力に取り憑かれてしまったんです。ゲンゴロウと一口に言っても、日本に約140種類が生息していると言われています。その中でも大きい種類で、みなさんが初めにイメージするであろう「ナミゲンゴロウ」を採集するまでには10年かかりましたね。 せわしなく動き回る様子や丸っこいかわいいフォルムなど、ゲンゴロウの姿は見ていて飽きません。「ナミゲンゴロウ」は昆虫の中でも珍しく、実はなかなか捕まえられないんです。僕は小学3年生の時から探し始めましたが、大学1年生の時にようやく捕まえることができました。その時は嬉しさと感動のあまり手が震えて止まらなかったことを覚えています。 当時はスマホの地図アプリなど持っていませんでしたから、中学生の時は地図帳を買ってきて、学校のある大阪から電車に乗り、奈良や三重にある池という池を巡っていました。沖縄に行った際にそれなりに大きいゲンゴロウの種類を見つけられたのですが、やっぱりナミゲンゴロウを見つけたいという思いがあり、ひたすら探し回っていましたね。