【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界】Vol.26タルトタタンとアップルパイは何が違う?
【パティシエが教える、奥が深いお菓子の世界】Vol.26タルトタタンとアップルパイは何が違う?
スイーツ、焼き菓子の世界では、知っていそう? でも実は意外と知らないことが多いですよね。そんなスイーツの疑問に現役のパティシエ・大澤智弥氏が答えてくれます。今回は、アップルパイとタルトタタンの違いについて聞いてみましたよ。有名なタルトタタン発祥のエピソードも!
「生地が下か」「生地で包むか」の違い! ?
「生地が下か」「生地で包むか」の違い! ? タルトタタンもアップルパイも材料はほぼ同じで、パイとアップルの組み合わせで作られる焼き菓子です。端的に言えば、生地の上にアップルを乗せたのがタルトタタンで、生地でアップルを包んだのが、アップルパイです」と大澤シェフ。「本来(昔)のタルトタタンは、パイ生地を敷き詰めて、そこにバターと砂糖でソテーした、まだ形のあるアップルを重ねて全体の形を整えてからオーブンで焼き上げます。アップルの形は崩して作ることもあるし、薄く切って、幾層にも重ねて生地の上に敷き詰めて作られたものもあります」一方のアップルパイは、同じように煮詰めたアップルをパイ生地で覆って焼き上げるお菓子です。だた、最近では、さまざまなアレンジが加わって、全体を覆ったものではなくてもアップルパイと呼ばれているものもたくさんあります。「二つの焼き菓子は、材料や作る工程もとてもよく似ています。そもそもタルトタタンはアップルパイ作りから生まれた副産物的な焼き菓子と言われているんです」と大澤シェフ。
あまりにも有名なタルトタタン誕生物語
あまりにも有名なタルトタタン誕生物語タルトタタンの発祥として、とても有名なエピソードがあります。19世紀後半、フランスのソローニュ地方の町にある「ホテル・タタン」で働く2人のタタン姉妹がタルトタタンの創始者。「タタン姉妹が間違えて、タルト型に直接リンゴを入れて焼いてしまったんです。そのまま忘れてしまい、アップルが焦げて、こびりついてしまった。これをどうしようってなったときに、上から生地をかぶせて、焦げつきが見えないようにした。それをひっくり返してみたら、とても香ばしいタルトになっていたんです」それがタルトタタンの始まり。以後、ホテルではこのデザートが人気を呼び、今のタルトタタンとして定着したと言われています。