6割の女性が感じる「更年期症状」。密かに進む“卵巣の老化”と現役医師の体験談
子宮と卵巣を“摘出”して起きた人生の一大事
私の場合、40代に差しかかった頃に、更年期の前触れのような症状に見舞われました。一年じゅう風邪を引いているような調子の悪さを感じるようになったのです。 風邪薬や抗生物質を飲んだりしていたのですが、調子の悪さはまったく改善されませんでした。今にして思うと、この頃には、すでにエストロゲンの値が下がりはじめていたのでしょう。 「おかしいな」と思いながらも、効果が感じられないので、1年ほどで薬の服用をやめると、今度は夜寝ているとき、喘息のような息苦しさに襲われるようになりました。ステロイドの入った薬を飲むと、症状は軽くなり、それほど深刻でもなかったのですが、今、自分の40代を振り返ってみると、「あれ? ちょっとおかしいな」ということが、ちょくちょく起きていたのです。 そして迎えた48歳。この頃から生理時の過多出血が始まりました。突然、大量の出血が起きるため、常に夜用の生理用品を持ち歩かなければならないほど。 婦人科では「機能性出血」と診断され、処方されたホルモン剤を服用すると、大量出血は治まったので、それでなんとかやり過ごしていました。 次に異変を感じたのは50歳で閉経したとき。排尿時に突如、おしっこが止まってしまうという現象が起きるようになりました。子宮にできた筋腫が尿道を圧迫しているに違いない。 ほとんど確信に近いものをもって婦人科を受診したところ、やはり子宮筋腫と診断されて手術を受けることになりました。子宮を全摘することになったのです。 それだけではありません。「卵巣がんになる人が増えているから、取りましょうか」と主治医からいわれ、両側の卵巣も摘出することになったのです。卵巣は、初潮を迎える思春期から閉経までの約40年間の“期間限定”で働く臓器。 当時の私は50歳。年齢的には卵巣はもう役目を終えようとしていたわけですし、がんのリスクを避けられるなら、と前向きな気持ちで手術を受けました。 しかし、まさかその後、壮絶な日々が待ち受けていようとは想像だにしていませんでした。卵巣を摘出することで、私は突如として更年期の荒海に放り出され、さまざまな症状に苦しめられることになったのです。 ※ この記事は『81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵』(世界文化社刊)より一部抜粋、再構成のうえ作成しております
ESSEonline編集部