まばゆい尾を引く紫金山・アトラス彗星の姿、太陽観測衛星SOHOが撮影
米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同運用する太陽観測衛星「SOHO(SOlar and Heliospheric Observatory)」が、太陽の光に照らされた「紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)」の非常に明るい尾を捉えた。まもなく肉眼で見ることができるはずだ。 【画像】世界各地で撮影された紫金山・アトラス彗星 地球を周回するSOHOに搭載された広角分光コロナグラフ(LASCO/C3)が撮影した画像には、10月12日に地球に最接近する予定の彗星のまばゆく輝く姿が映っている。 LASCOは、太陽の外層大気であるコロナを観測するために考案されたコロナグラフという装置。太陽の光球を遮蔽する円盤を備えており、コロナの状態のほか、太陽に接近する天体を撮影できる。映り込むのはたいてい惑星だが、今週は驚くほど明るい天体が急接近する様子が捉えられている。 米海洋大気庁(NOAA)が8日に公開したLASCO/C3の画像には、10月7日にX2.1の大規模な太陽フレア(電磁放射による極紫外線閃光)と2回のコロナ質量放出(荷電粒子の雲)が観測されたのとほぼ同時に、LASCOの視野に現れた紫金山・アトラス彗星が写っている。 NOAAの宇宙天気予報センター(SWPC)は、コロナグラフの画像について「彗星は10月10日(日本時間11日)にかけて太陽の右側から左上へと通過し、10月11日(同12日)には視野から消えるだろう」と解説。「コロナグラフの視野を横切る間、彗星は壮大な存在感を示し続けるだろうが、あまりに明るすぎて画像が白飛びしてしまう可能性もある」と述べた。 LASCOのほぼリアルタイムの画像はこちらのページで確認できる。 ■紫金山・アトラス彗星、観測のベストタイミングは 約8万年に及ぶ公転軌道の旅路の中で太陽に最も接近する近日点を9月27日に通過した紫金山・アトラス彗星は、現在最も明るさを増しており、北半球からも観測できる。 10月12日(日本時間13日)に地球から約7100万kmの距離まで最接近するが、その前々日と前日、つまり日本時間で11日と12日の夜が最も明るい彗星を肉眼で観察できる絶好の機会となるだろう。 彗星と長く伸びた尾の最も明るい姿が見られる正確な時刻を予測するのは難しい。というのも、彗星が明るいときは見かけの位置が地平線ぎりぎりにあるため、日没直後の薄明の中では見つけにくい可能性が高いからだ。12日以降は日増しに彗星の地平からの高度が上がり、暗い空を背景に見えるようになるが、明るさは次第に落ちていく。つまり、うまくバランスを取る必要がある。 確かなアドバイスは、とにかく日の入り直後に外に出て、西の空を見てみることだ。地平線ができるだけ開けた場所で低い位置を探してみよう。双眼鏡を使うと探しやすいだろう。
Jamie Carter