毎週火曜「深夜帰宅」の謎…適応障害超えた元教員夫に「すべてを支えた妻」が一番怒ったこと
「ストレス過多で知られる学校の先生の浮気調査は増え続けています。ストレスの吐け口が浮気になることは多いです。」と語るのは、探偵の山村佳子さん。横浜のリッツ探偵事務所の代表だ。 【写真】世界一の教育国・オランダが実践する「まったく新しい小学校担任制」 2024年12月16日に兵庫県神戸市で2026年に実質部活の廃止を発表するなど、「学校の先生」の負担を減らし、教育の質を変えようという動きがさかんだ。その背景には、部活動が教員たちの生活を圧迫している一面がある。 12月20日には、文部科学省は『公⽴学校教職員の⼈事⾏政状況調査について』を公表。これによると、2023年度に精神疾患で休職した公立学校の教員は前年度から580人増の7119人で3年連続で過去最多となった。原因は業務の多忙や生徒指導の悩みが多いのだ。 今回山村さんのところに相談に来たのは、43歳で現役教員の奈美さん(仮名)。同じ年で教員免許をもち、現在フリースクールでアルバイトをしている夫と13歳の娘の3人家族だ。夫の浮気疑惑の調査を依頼してきた。 前編「非正規採用、モンペに校内いじめ…適応障害発症した夫を支えた教員が「裏切り」に気づいた理由」で詳細を伝えたように、奈美さんの夫は倍率の高い教員採用試験にも苦しみ、非正規雇用からのスタートとなった。さらにモンスターペアレンツや校内での先生同士のいじめにも遭う。適応障害を発症して休職し、40歳で退職したのだ。 その間、金銭面でもずっと支えてきた奈美さんを裏切って浮気をしているというのは本当だろうか。
非正規採用からスタートして浮気疑惑が出るまで
奈美さんが夫の浮気の調査を依頼するまでを振り返ります。大学時代、ともに学校の先生を目指していた二人は、就職戦線を潜り抜けるうちに恋に落ち、22歳で交際をスタートしました。 奈美さんは国立大学卒で、22歳の時に新卒で公立学校の正規の先生として採用されます。夫は新卒採用されず、産休や病欠の補助の先生としてキャリアをスタート。非正規雇用だと、正規の先生が復帰すれば仕事はなくなり、不安定な働き方を余儀なくされます。また、僻地勤務も命じられることもあり、奈美さんは同棲を提案。 夫は5年間の非正規時代を経て、27歳の時に正規採用され、それと同時にふたりは結婚。奈美さんは30歳で娘を出産しました。ところが、正規採用から7年目に夫が先生同士のいじめの標的になります。さらにモンスターペアレンツからの攻撃もあり、適応障害を発症。病気を抱えながら勤務していましたが、37歳の時に学級崩壊にも直面し、夫は休職することになりました。 3年間の休職期間に入ったばかりの頃、夫はジャンクフードの依存や昼夜逆転生活で健康を害します。奈美さんは生活改善して、今のトレンディドラマの俳優のような、元の容姿と健康状態に戻しました。健康を取り戻した夫は、フリースクールの先生として、キャリアをスタートさせます。 ここから奈美さんは様々なモヤモヤを抱えます。まずはお金のこと。夫が休職に入る前の7年間はすべて割り勘にしていた夫婦ですが、休職に入ってからは、全額を奈美さんが負担してきました。夫に対して「再就職したのだから払ってほしい」というと、夫は「手取りが10万円くらいだから、無理」と突っぱねました。 さらに半年前から、夫は毎週火曜日、深夜に帰宅するようになります。浮気を疑った奈美さんにとって、決定的だったのは、修学旅行の下見から戻ってきた時、ゴミ箱から駅ビルのレシートを発見したこと。そこには、若者が好むジュエリーブランドの2万円程度の買い物履歴がありました。奈美さんは、夫に生活の全てを依存されながら、性生活を拒否されているのは都合よく使って浮気をしているからではないかと考えたのです。「離婚して、夫を家から追い出す」という選択肢を確信するために、私たちに調査を依頼しました。