毎週火曜「深夜帰宅」の謎…適応障害超えた元教員夫に「すべてを支えた妻」が一番怒ったこと
「パパとママを選ぶことはできない」
結局、奈美さんと夫は離婚することになったそうです。ただ、離婚届は提出しても、同居は続けるのだとか。それは娘が「パパとママを選ぶことはできない」と泣き出したから。玄関隣の娘の部屋を夫にの部屋にして、リビング側にある寝室を娘の部屋に。キッチン・バス・トイレの共用をしつつ、居住空間が別れるようにリフォームをしたそうです。この費用は夫が負担。 その後、夫は奈美さんに家賃を入れ、お互いの恋愛の自由を認めるという家庭内別居のような状態に落ち着きます。 それから2ヵ月、別人のように明るい声で奈美さんから連絡がありました。 「書面上であれ、離婚したらすごい開放感です。私、夫に対して母親のように接してしまっていたんです。愛しているから立派になって欲しくて、仕事に対して口出しをしていました。離婚して他人だと思えば、何をしても気にならなくなったのです。不登校気味だった娘も、毎日学校に行くようになりました」 しかし「母親のように接してしまっていた」といいますが、母親であっても、仕事に対して口出しするのはよくないでしょう。親子でも夫婦でも、お互いのやり方を尊重することが大切。良かれと思って助言をしても、決めつけるように口出しされたり怒鳴られていたら、一緒に暮らすのは嫌になってしまうでしょう。幸い、夫に対して怒鳴るのをやめると同時に、娘に対しても怒鳴るのをやめられたのだといいます。たとえ正論であっても、感情的に怒鳴るのは威嚇にしかならず、相手との溝を作るだけなのだと感じさせられます。 今、一人の大人として、ルームメイトになってからは、関係はいいというのです。奈美さんが娘を怒鳴る回数もゼロになりました。夫も、奈美さんに支えてもらっていることはわかっていながら、コンプレックスも抱いてしまっていたのでしょう。夫のせいなのではなく、病気になるような環境が問題だったのですが、そこで自己肯定感を抱けずにいた。そこに責め立てる言葉が来て、わかっているけど拒絶反応が出てしまった。そういう流れのようです。 もともとは「いい教員になりたい」と同じ志をもつふたりです。そう思うすべての人が健やかに先生の職務をまっとうできるような環境の重要性も改めて感じます。籍を別にして同居するという新しい家族の形を選んだ奈美さんご一家は、現実を見て互いを尊重しながら支えあう形を選んだと言えるのではないでしょうか。 調査料金は25万円(経費別)です。
山村 佳子(探偵事務所代表)