遺伝だけが原因じゃない「近視リスク」を高める3つの環境要因とは?
近視の増加が世界的な問題となっています。近年、アジア諸国では20歳以下の近視保有率が80%を超えたと言われます。 遺伝だけが原因じゃない「近視リスク」を高める3つの環境要因とは? 近視の発症は、これまで遺伝の要因が大きく影響するためしょうがないと考えられていたもの。でも今や子どもの頃から近視リスクを減らす対策や治療ができることはご存知でしょうか? ここまで近視が増えている経緯と、遺伝だけが原因じゃない、近視リスクを高める環境要素とは一体何なのか?そのヒントを探るべく、2023年12月6日に開催された「ZERO Diopter Project」キックオフセレモニーに足を運んできました。 近視が増える状況から、未来の世代を守るために立ち上げられたのが、裸眼でクリアに物が見える世界を目指した活動「ZERO Diopter Project」です。キックオフセレモニーには、約80名の起業家や企業の健康経営担当者、コミュニティ運営者などが参加。 トークセッションには、窪田製薬ホールディングス株式会社社長・眼科医の窪田 良さん、脳科学者の茂木健一郎さん、品川女子学院理事長の漆 紫穂子さん、ファシリテーターとして瀧口友理奈アナウンサーが登壇し、近視に関するディスカッションが行われました。
子どもの視力低下が続く。アジア諸国では近視対策が本格化
文部科学省が11月28日に公表した2022年度の「学校保健統計調査」では、視力1.0未満の小中高生の割合が「過去最高」を更新したことが判明しました。 品川女子学院理事長の漆 紫穂子さんは、学内で近視に関するアンケート調査を実施。「近視に対して対策や治療をしていますか?」という質問では、生徒の77.9%が「いいえ」と答えたといいます。 「そもそも“近視は病気ではない”と思っている生徒が多いのです。品川女子学院とZERO Diopter Projectのコラボレーションが始まって、『近視は病気であり、予防や治療ができる』というお話を伺ったときは、皆すごくショックを受けていました」(漆さん) 「ZERO Diopter Project」のプロジェクト名にある「Diopter」とは、近視の度数を表す言葉。遠視は+D、近視は─Dであり、そのどちらでもない正常な「ZERO Diopter」の子どもを増やすために、豊洲を拠点として近視のメカニズムや眼病の予防策を啓蒙するセミナーやイベントを開催しています。 同プロジェクトを推進する眼科医・窪田 良さんによると、強度近視には網膜剥離、近視性網膜症、近視性黄斑変性症、緑内障あるいは白内障などのリスクがあります。 しかし日本ではあまり問題視されず、「メガネやコンタクトをすればいい」「大人になったらレーシックもできる」といった意識の人が多いとのこと。一方、日本と同じく近視が増加したアジア圏では、すでに近視対策に注力する国も出てきています。 「中国では近視による経済損失が1%に至るという調査結果から、習近平氏が国家プロジェクトとして近視対策を進め、ゲームの制限や屋外活動を増加させる取り組みがスタートしました。台湾とシンガポールでもより先進的な近視抑制プロジェクトが進んでおり、実際に近視が減り始めています」(窪田さん)