遺伝だけが原因じゃない「近視リスク」を高める3つの環境要因とは?
コロナ禍の在宅学習で近視が増えた!?
眼科専門医の間では、コロナ禍によって子どもの近視が増えたと言われていると話す窪田さん。そのきっかけは、在宅学習が増えて学校に行かなくなったこと。しかも家でパソコンやタブレットを見ていたからではなく、屋外での活動、つまり外遊びが減ったことが最大の原因だといいます。 「子どものときに積極的に外で過ごすだけで、近視はかなり予防できます。ガラス越しの光ではなく、自然光のもとで遠くを見ることが大切。1日10時間家で作業していても、2時間ほど外に出て遠くを見るだけで、かなりの目の負担が軽減されると考えられています」(窪田さん) 茂木先生も「親心としては、たとえ近視のリスクがあったとしても、勉強ができる子になってほしくて外遊びよりも優先してしまう」とコメント。 「しかし脳科学の見地からすると、近視によって中枢神経系の視覚回路などの発達が妨げられることのほうが重大です。要するに視覚情報処理に影響するので、データが脳の中にちゃんと入っていかない。そこはすごく大きいなと思う」と警鐘を鳴らしました。
近視リスクを高める3つの環境要因
セッション終了後は、眼科医である窪田さんと、同じく眼科医で医療法人社団英和会の主任執刀医である佐藤 香さんが登壇し「近視の相談室」を開催。近視に関する会場からの質問に答えました。 「親が近視だと子どもも近視になりやすいのでしょうか?」という質問に関しては、「遺伝的要因よりも環境的要因の方がはるかに大きい」と窪田さん。 佐藤さんも「遺伝によって確率は高くなるけれど、今は予防も治療もできる。遺伝的要素を懸念される場合は、低年齢のうちからしっかりと予防していくことが大事」と話します。 「近視になる環境因子」は大きく3つあります。 <近視になる3つの環境因子> 1. 外で遊ぶ時間が減っている 2. 近い距離でデバイスを見る時間が増えている 3. 寝る時間が遅い/睡眠時間が短い 「まずはこの3つの因子を、できるだけ減らしていきましょう。外遊びに関しては、2時間以上の外遊びで近視の進行が防げるというケースもあります」(佐藤さん) 以前は近視の進行は大人になると止まると考えられていましたが、昨今は急激に進む IoT化により、大人になっても視力が低下し続ける人が増えているといいます。 これまで目に関するリテラシーがあまりにもなかったことに気づかされた、この日のセッション。スマホやタブレットが手放せない今、近視の知識や対処法を学ぶことは必須の課題となっていきそうです。 Source: ZERO Diopter Project
田邉愛理