いすゞ、米でEVトラック増産…第2工場も検討
いすゞ自動車は強まる環境規制を見据え、2027年をめどに北米で電気自動車(EV)トラックを増産する。年約2万台の中・小型トラックの生産能力を持つ米ミシガン州の既存工場を能力増強するか、北米の別の場所に第2工場を建てる方向で検討する。24年度中に意思決定する。米環境保護庁が定める自動車排ガス規制などを受け、小型トラックの領域でEV需要が高まるとみている。日本からの輸出を減らし、現地調達化を進める方針。投資額や増強後の生産能力は非公表。 【写真】北米に投入したEV小型トラック「NシリーズEV」 いすゞは8月、北米でEV小型トラック「NシリーズEV」を発売した。26年をめどにEV中型トラックも北米に投入予定だ。既にいくつかの北米大手フリート(法人車両を活用したサービス提供事業者)がモニター走行した。「27年から28年にはかなりの(受注)台数になる」(南真介社長)とみて能力増強の概要を今後詰める。 25年3月期の北米の商用車販売は約3万9000台を見込む。車両はミシガンで生産するほか、日本からの輸出で賄っている。北米で24年度から取り扱うEVも、現地工場主体で生産しつつ、車載電池など主要部品は日本から送っているのが現状だ。今後はカリフォルニア州など厳しい環境規制を敷く地域を中心にEVの比率が高まると予想。現地調達の比率を高め、輸送費や関税、リードタイムを削減する狙い。27年ごろを目指す電池の現地調達に向け調達先なども検討する。 いすゞの小型トラック「Nシリーズ」は、エンジンの上にキャブ(運転席)を置いたキャブオーバー型としてニューヨーク州やカリフォルニア州など都市部を中心に販売を伸ばしている。積載スペースの広さや視認性、旋回性など使いやすさに定評がある。「電子商取引(EC)需要などで受注は好調。EVも出足は好評だ」(南社長)として、本格普及を前に供給体制の構築を急ぐ。