アナリスト・馬渕磨理子さんが説く「米大統領選後の株式市場」の行方、日経平均が4万2000円を目指す展開が想定される理由
日米ともに国の行く末を占う「選挙イヤー」となった。日本の衆院選は自民・公明の与党が過半数を割り込む展開となったが、まったくといっていいほど予想がつかないのが米大統領選だ。11月5日(現地時間)の投開票日が間近に迫っても、民主党のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領、どちらが勝つのか、読めない展開となっている。誰が米大統領になるかで世界の金融市場が大きく左右されることは必至。選挙結果次第で株価はどうなるのか。テレビなどで人気の経済アナリスト・馬渕磨理子さんが予測する。
まず、馬渕さんが注目したのは、次期大統領がどちらになるかはもちろん、同時に行なわれる上院・下院選挙の結果だ。 「11月5日の米大統領選では、同時に連邦下院435議席、連邦上院100議席のうち33議席が改選されます。大統領選の年は期待が膨らんで株高傾向となることが多いですが、過去のデータをみると、大統領はもちろん、両院選挙の結果次第で株価のパフォーマンスは大きく変わってくる傾向が見て取れます」(馬渕さん、以下同)
重要なのはむしろ「上下院」の選挙結果?
馬渕氏が過去のデータを分析したところでは、米大統領選の結果よりも「議会を共和党が握る」ことが、米国の株価(S&P500)にプラスに働くという結果なのだという。 「やはり米国の景気拡大をより後押しするのは共和党と見られ、仮にハリス氏が大統領になっても議会で共和党が多数派となれば、景気拡大への期待が高まる。対照的に、その逆(トランプ大統領=両院が民主党)の組み合わせだと、その期待が薄まるということをデータは示しています。 ただ、いずれの場合でも、米国はソフトランディング期待が高まり、株高が続くと予想されます」 気になるのは、政治的な混乱が続く日本株だが、馬渕さんはポジティブな見方を示す。 「総選挙の争点で、野党側は消費税減税や教育の無償化などで一致していました。今後、どのような政権の枠組みになっていっても、基本的には景気刺激策の議論に向かう可能性が高いと考えられ、株高が期待されます。10月31日時点では、キャスティングボードを握る国民民主党の玉木代表は、拡張的な財政政策や金融緩和の維持を掲げてきたこともあり、存在感が増しています。米国株との連動性もあって、日経平均株価は再び4万2000円を目指す展開になると見ています」 来年1月には「新NISA」が2年目を迎える。これまで投資してきた人たちは新たな年間投資枠が使えるようになり、新たに口座を開設する人も出てくると考えられるため、そうした新規マネーの流入も期待される。 「個別株なども買える『成長投資枠』で投資されている人のなかには利益確定させる人もいるでしょう。利益確定で売却した人が売却によって復活する投資枠を使った投資の活発化も考えられます」 投資熱がますます高まろうとするなか、個人投資家はどうするべきか。 「まずは目先の値動きばかりに目を奪われない『長期投資』が鉄則です。8月5日の過去最大の急落の後も株価が戻ったことは良い教訓と学びにつながったのではないでしょうか。 相場には急落と急騰がよくあることを認識して、何かあったとしても落ち着いて、大きな金融の流れに身を任せる。一方的に上がり続けたり下がり続けたりする相場はないので、結局は『長期投資』が自分の身を守ることにつながると考えていただきたい」 【プロフィール】 馬渕磨理子/経済アナリスト。一般社団法人日本金融経済研究所代表理事。大阪公立大学客員准教授。京都大学公共政策大学院修士課程を修了。トレーダーとして法人の資産運用を担った後、金融メディアのシニアアナリストを経て独立。テレビ『Live News α』(フジテレビ)、『ウェークアップ』(読売テレビ)、ラジオ『#ビジトピ』(Tokyo FM)など出演多数。著書も『黒字転換2倍株』(ダイヤモンド社)、『高速勉強法』『超速仕事術』(共にPHP研究所)、『ニッポン経済の問題を消費者目線で考えてみた』(共著 フォレスト出版)など多数で、最新刊は『馬渕磨理子の金融・経済ノート』(東急エージェンシー)。
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