「無線がないと本当に不便」「自分の認識不足」「ドライバーミスです」トラブル、アクシデント多発のGT500決勝/スーパーGT第7戦オートポリス
土曜日の悪天候でワンデー開催となったスーパーGT第7戦オートポリス。レースは4度のセーフティカー導入という大きく荒れた展開となったが、GT500クラスに限っても、さまざまなトラブルやアクシデントが発生することになってしまった。レース後に聞くことができた背景、状況をまとめた。 【写真】トラブルで宙吊りで撤去されるWedsSport ADVAN GR Supra/スーパーGT第7戦オートポリス決勝 GT500にとって、最初のトラブルは23周目の19号車WedsSport ADVAN GR Supraの不可解なストップ。一度止まってから動き出そうとするが、クルマが真っ直ぐに走らず、再びコースサイドの止めることになり、FCY(フルコース・イエロー)となった。レース後、関係車に聞くところによると、操舵系のアクシデントとのことだ。 そのFCY中はピットクローズでピットに入ったらペナルティ対象となるが、8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTがピットロードへ。ガレージ前ではピット作業の準備はしておらず、8号車はそのままスルーしてコースに戻るという、不可解なシーンが見られた。 実は8号車には無線トラブルが起きており、コース上の松下信治には音声は届いていなかった。その状況でチームは一度ピットインさせるため、『BOX』のサインボードを提示。松下はサインボードに従ってピットに向かっていた最中、FCYとなった。通常ならこの時点で無線が飛び、ピットインはキャンセルとなるが、不運にも無線がつながらず松下はピットへ。結果的にペナルティストップ60秒を科されることになってしまった。 ⚫︎松下信治「自分で気づいてステイアウトに変更しないといけなかった」 「最初の方は聞こえていたのですけど、すぐに音声がゼロになってしまって、『BOX』のサインボードが出て最終コーナーくらいでFCYのボードが出てそのまま入ったのですけど、FCYの時には入ってはいけないという自分の認識不足です」 「自分で気づいてステイアウトに変更しないといけなかった。自分のミスです。ピットに入って、タイヤは置いてあったけどチームも入ってくるなんて思っていなかったから、まあ、そうですよね、その時も無線は聞こえていなかったのでスタッフのジェスチャーを見て、そのままコースに戻りました」 8号車はその後も無線はつながらないまま、第2スティントを担当した野尻智紀もFCYやセーフティカーなどで波乱となったレースを、無線なしで乗り切った。 ⚫︎野尻智紀「不安は大きかったです」 「自分の時も無線はまったく聞こえていなかったですね。ですのでオーソドックに旗を見て、ルールを守っていました。FCYのカウントダウンの表示は生きていて、ステアリングに表示されましたけど、それよりポストの側とライトパネルを見て先に気づいていましたね」 「セーフティカーが入った時の並び替えとかは、どのタイミングで並び替えるのかわからなかったのですけど、『もうそろそろかな』という雰囲気でやっていた感じです。逆に、無線のトラブルは近年稀に見る状況だったので、こういったトラブルを抱えた車両に対しても全車減速して並び替えるタイミングとか、もうちょっとわかりやすく示せる方法はあるだろうな、というのは乗っていて思いましたね。まあでも、不安は大きかったです。無線がないと本当に不便ですね(苦笑)」と野尻。 「自分のスティントに関しては結構、いいペースで走れていたので、順調に行けていれば全然、表彰台を狙えるパフォーマンスはあったかもなとは思います。100号車も4番手にいますしね。クルマのパフォーマンスはあるなというのを感じることができたので、そこは非常にポジティブなところがあります。強がりで言っているところもありますけど、残り2戦、2連続ポール&2連勝、十分できる手応えはあります」と前を向いていた。 ⚫︎伊沢拓也「メカさんたちに負担を掛けてしまって申し訳ない」 第2スティントを担当した64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTの伊沢拓也はピットアウトしてから4周目となる60周目の3コーナーでクラッシュバリアに突っ込んでリタイアとなってしまった。 「3コーナーで右フロントをロックさせて、止まりきれずにそのままぶつかってしまいました。ドライバーミスです。ピットアウトして、比較的タイヤの温まりも良くて1分40秒台のいいペースで走れていた。クルマもタイヤもすごくフィーリングが良くて、ちょっと頑張りたくなって、頑張りすぎてしまいました。クラッシュバリアにかなり突っ込んでいるように見えますが、体は全然、大丈夫です。クルマはフロント部が結構、壊れてしまいましたが……。残念な形で終わってしまって、次の(2週間後の)もてぎまで時間がない中でメカさんたちに負担を掛けてしまって申し訳ないですけど、気持ちを切り替えて走るのが僕たちの仕事なので、もてぎまでに心も体も整えて挑みたいと思います」 レース終了間際の91周目にはセーフティカー中に24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが突然、コース上にマシンを止めてしまったが、駆動系のトラブルが発生してしまったとのことだ。 [オートスポーツweb 2024年10月20日]