「〈生きがいが必要〉と肩肘は張らず」「〈いい人〉はやめて本心をさらけ出す」精神科医が教える《老人性うつ》を遠ざける6ヵ条
年齢を重ねると理由もなく悲しくなったり、落ち込んだりすることが増えます。それは感情の老化が原因かもしれません。心の平穏を保つための考え方「心をこじらせない6ヵ条」を伝授します(構成=本誌編集部 イラスト=きじまももこ) あなたは大丈夫?「老後うつ」危険度テスト * * * * * * * ◆【その5】「生きがいが必要」と肩肘を張らなくていい 子育ても終わり、仕事の第一線から退いたら、「この先、何を生きがいにしていけばいいのだろう」という思いに駆られる人もいるでしょう。なかには、「人生後半をもっと楽しまなければ」と、自分を追い詰めてしまう人がいるかもしれません。 そんな思いが強すぎると、老人性うつを呼び込んでしまう危険性があるので、注意が必要です。 そもそも「生きがい」や「楽しい人生」といった言葉にどんなイメージを抱くでしょうか。 旅行や新しい趣味を存分に楽しむ自分? 孫や子どもに囲まれて団らんしている姿? とにかくキラキラして活動的なイメージかもしれませんが、現実はそうではなく、多くの高齢者が「毎日がマンネリだ」「生活が大変」と言いながらも、平穏な暮らしを送っているのです。 ですから、大きな目標などなくてもいい。基本的に人間にとって必要なのは、衣食住だけです。これがあれば焦ることも心配する必要もありません。十分幸せだと自覚しましょう。
◆【その6】人に合わせず本心をさらけ出そう 人にはさまざまな性格が見られますが、周囲との摩擦を避けようとして自分の気持ちを抑え込む傾向のある人がいます。このタイプの人は、周りから「いい人」という高評価を得ることが多いものの、本心を抑え込んでいるため、大きなストレスがかかります。 結果、がんを発症しやすくなることもあるので、心理学では、がん(cancer)の頭文字をとって「タイプC」と呼ばれ、注目されるようになりました。 元気で長生きしたいなら、いい人はやめて、自分らしく振る舞ったほうがいいのです。素の自分でいられなかったり、本心を話せなかったりするのはなぜでしょうか。嫌われるのが怖いから? けれど、相手に合わせてばかりいると、八方美人と思われる可能性もありますよ。「Aさんって、いつも人に合わせるばかりで調子がいい」などと、陰口をたたかれているのを耳にしたら、本心を抑え込んでいるストレスと合わせてダブルパンチ。 本音で話しても話さなくても嫌われるなら、自分をさらけ出したほうがストレスは少なくてすむのです。 (構成=本誌編集部)
保坂隆
【関連記事】
- 長寿国日本、8人に1人が〈老人性うつ〉に。「やる気がない」「すぐカッとする」「人に会いたくない」…あなたは大丈夫?《老後うつ危険度テスト》
- 「〈まぁ、いいか〉くらいでちょうどいい」「老化現象は気に病まず受け入れる」精神科医が教える《老人性うつ》を遠ざける6ヵ条
- 「気分が晴れないときは深呼吸」「日曜菜園など外に出て、孤独にならない心がけを」精神科医が教える《老人性うつ》を遠ざける6ヵ条
- 自分の歯が少ないほど、認知症になりやすい。高齢になって「痛い」「お金がかかる」となる前に、半年に一度は歯科医院へ
- 信頼できるかかりつけ医はいますか?「かかりつけ医=長年通っている病院」ではない。しっかり話し合うことで、良好な関係を築いて