発症すると死が不可避の狂犬病、「義務」なのに予防接種率は7割に低迷 国内で60年以上発生なく油断、未接種犬が人かむ事件も
若い世代になるほど危機意識が薄れていると感じるものの、授業で学生に狂犬病患者の映像を見せると大半が「これまで通りの対策を続けるべき」との意見を持つようになるといい「狂犬病の悲惨さを知ると、多くの人がリスクはゼロに近づけておいたほうが良いと思うのではないか」と語る。 また、群馬県食品・生活衛生課の稲葉正浩係長によると、未接種の犬は災害時、ペット同伴ができる避難所で受け入れできない可能性もあるという。稲葉係長は「飼い主の責務として、毎年の予防接種をお願いしたい」と呼びかける。 ▽いまは4~6月の接種時期、通年化も検討 いま、ワクチン接種時期は、狂犬病予防法の施行規則で4~6月となっている。期間を区切ることで呼びかけ効果があるなどのメリットがあるという。 4月4日、群馬県安中市の公民館で行われた集団注射では、飼い主に連れられた30匹が接種した。獣医師が担当し、1匹当たりにかかる時間は数秒。ほとんどの犬は鳴き声を上げることもなく、スムーズに終えた。
愛犬のチワワと訪れた上原篤さん(69)は「義務だから毎年来ている。家に案内が届き、時間や場所も選べるので苦にならない」。犬を飼い始めてから40年以上接種を欠かさないという望月克美さん(78)は「ワンちゃんを愛しているから、打つのは当然。万が一逃げたりしても打っていれば安心できる」と話した。 ただ、厚生労働省によると、複数の自治体から昨年、飼い主の利便性の向上や事務コストの軽減のため通年接種できるよう要望があったといい、厚労省は時期の見直しを検討している。2024年度に全市区町村への実態調査を行い、獣医師会などの意見も踏まえた上で、2025年度までに変更するかどうか判断する方針だ。