滋賀医大・性的暴行事件で逆転無罪、大阪で抗議集会 性被害訴えの女性検事「あなたは一人じゃない」
●女性検事「あなたは一人じゃない、私たちが共にいる」
ひときわ大きな拍手が起こったのは、大阪地検・元検事正による性的暴行を刑事告訴した女性検事のスピーチだった。 「(コメントを)代読していただく予定だったんですけれど、みなさんのスピーチをお聞きして、私自身の声で発信したいと思いましたので、私自身でお話をさせていただけたらと思います」とマイクを持った。 「まずは今回の不当な判決により、今、絶望の中にいる被害者や、そのご家族の方に、あなたは一人じゃない、私たちが共にいる、私たちが共に戦うと言うことを、お伝えしたいと思います。 司法関係者に求められているのは、性犯罪の法律や裁判例の正しい理解と、性犯罪被害者の心理、および、心的外傷、被害者と相手方の関係性などを適切に踏まえて判断する常識的な事実認定能力です。 かつて、それらを欠く一部の司法関係者による不当な無罪判決などにより、勇気を振り絞って被害申告した被害者を、絶望に追い込み、自己の尊厳と正義を取り戻そうとする未来を踏みにじってきました。 そして被害者や支援者が、血の涙を流しながら、必死に運動して築き上げた、性犯罪被害者を正しく守るための法律が令和5年7月施行の法改正であり、処罰範囲は法改正前後で同じです。 また暴行や脅迫も、その程度は問われていません。総合的な判断で、性犯罪が成立するかを検討すれば足りるわけです」(女性検事) 2023年7月に性犯罪刑法の法改正があり、不同意性交等罪が創設されたが、これは「処罰範囲の拡大」ではなく「処罰範囲の明確化」であると法務省サイトでも説明されている。 「事件当時は不同意性交等罪ではなく強制性交等罪だったから仕方ない」といった説明が法曹関係者からもされることがあるが、法改正前後で処罰範囲の拡大があったわけではなく、明確化された基準で改正前の事件を判断することができるという意味の内容を女性検事は話している。
●女性検事「被害者心理を踏まえた常識的な事実認定を」
女性検事のスピーチは続く。 「法改正時、衆参両議院の法務委員会は、付帯決議において、政府や最高裁判所に対し、不同意性交等罪における同意の位置付け、および意義など構成要件について、国民に対する普及啓発を推し進め、十分に周知徹底をつとめること、性犯罪の捜査、司法手続にあたっては、被害者の心理やトラウマ、相手方の関係性をより一層適切に踏まえてなされる必要に鑑み、これらに関連する、心理的、精神医学的知見等について、調査研究を推進するとともに、研修をおこなうことにつき格段の配慮を求めています。 しかし、法改正後の現在においても、法律を熟知する大阪地検の元検事正が、個人的に関係のない酔い潰れた私に対し、性交等した事件において、被害者は抗拒不能ではなかった、抗拒不能だとは思わなかった、被害者が性交に同意していると思っていた、などと姑息な弁解をして否認に転じ、また連日にわたり、不当な無罪判決が連発していることは、今なお、一部の司法関係者が、性犯罪の法律等を正しく理解せず、性犯罪被害者の心理等を適切に踏まえて、常識的な事実認定をしないという恐ろしい現実を意味します。 このままでは、性犯罪被害者を正しく守るための法律を形骸化し、性犯罪を撲滅しようという社会的な機運を逆行させ、理不尽な性被害により、苦しめられ傷つけられる被害者がもはや声を上げることができなくなり、犯罪を助長させることになります 誤った判断は必ず正すべきです。そして、政府や最高裁判所は事態を真摯に受け止め、立法府の求めに応じ、すぐにでも周知徹底すべきです。これ以上、司法関係者の怠慢により、性犯罪被害者やその家族を苦しめないでほしい」(女性検事)