韓国のデモ、なぜ日本より圧倒的に若い世代が多かったのか 「戒厳令を止める一人に」自然体の抵抗に共感 弁護士・猿田佐世
韓国の国会が揺れている。突然、非常戒厳令が宣布されたが、一夜にして解除。これを受けて尹錫悦大統領の弾劾訴追案が提出された。7日夜に不成立になったものの、すでに再提出に向けた動きが出ている。戒厳令が宣布された日、偶然にも、シンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表で、弁護士(日本・ニューヨーク州)の猿田佐世さんはソウルに滞在中だった。韓国で経験した一部始終を寄稿した。(前後編の今回は後編) 【写真】「恥ずかしくないのか!」全世界に瞬く間に広がった映像 〉〉前編【韓国人でなくとも怒りが湧いてきた 戒厳令の夜、私がソウル国会前を離れなかった理由】から続く * * * ■中の闘い 「議員をブロックせよ」「議員を入れさせよ」二つの声 戒厳令が宣布された3日は、ソウルで行われた日米韓中の研究者の国際会議に参加し、1日目の日程を終えた後だった。その会議の韓国側の受け入れ団体の代表は国会議員だった。半日後に彼に話を聞くことができた。 その日、彼は、仕事を終えて帰宅したが、自宅で車を降りたところで、補佐官の電話を受け戒厳令が出たことを知る。直ちに国会に急行するが正門は警察が封鎖しており国会敷地内に入れない。「中に入れろ」と求め、数10分間もがき続けた後、誰かが「国会図書館(国会議事堂に向かって右横)側から入れる」とささやいたため、移動して国会に入ることができた。 ヘリ24機で軍の特殊部隊230人が運ばれ、さらに50人が塀を超えて国会敷地内に乗りこむ。国会議事堂の中では、補佐官たちがソファーを積んでバリケードを作っており、国会議員たちはその内側にいた。ネットでは、軍から銃を向けられた若い女性の野党職員がその銃を素手でつかみ、「恥ずかしくないのか」と兵士に叫んでいる映像が瞬く間に世界中に拡散した。「向こうは銃、こちらはソファーのバリケード。本当に怖かった」とその議員は振り返る。 戒厳令解除決議に賛成する議員の数を確保しようと、国会議員たちは連絡を取り合い、情報を交換し続けた。情報統制で携帯電話が使えなくなることを恐れていた。