韓国のデモ、なぜ日本より圧倒的に若い世代が多かったのか 「戒厳令を止める一人に」自然体の抵抗に共感 弁護士・猿田佐世
しかし、幸いなことにそれは起きなかった。 代わりに、家族や友人たちから次々とメッセージや写真が届いた。議員たちは、議員らの行動を支えるために、国会の外にたくさんの人々が集まり、体を張って軍や警察を国会の敷地に入れないようバリケードを作り、命がけで闘っていることを知る。 外の民衆の声に支えられて、議員たちも粘り、様々な働きかけを行った末、午前1時、遂に議員たちは、与党も含めて集まった190人の議員の満場一致で戒厳令の解除を決議した。その男性の議員は、思わず感極まって泣きそうになった、と話してくれた。 「これは国会の中と外が連帯して勝ち取った歴史的勝利だ」と彼は語る。国会の外の人々の頑張りがなければ、議員たちは持ちこたえることができなかっただろうと。 彼からは他にも幾つもの貴重な話を聞くことができた。 国会図書館の側に彼が移動した時、そこでも警察が封鎖体制を敷いていたが、その議員の耳に、警察の一群から二つの違った声が聞こえてきたというのである。片方からは「議員をブロックせよ」と、そして、もう片方からは「議員を入らせろ」と。 また、国会議事堂内で軍を迎えたのは「ソファーを重ねたバリケード」に過ぎなかった。にもかかわらず、兵士たちはそこを突破することを躊躇しているようにも見えた。また、議員たちの身柄を拘束するか否かも悩んでいるようにも見えたとのことであった。 集まった人々に頭を下げて謝った兵士の映像もネットで拡散されている。「彼らは、自分たちがやらされていることが正しいことではないとわかっていたのではないか」と、その議員は振り返った。 彼は続けた。韓国の人々は、軍事政権を倒し民主主義を勝ち取ったこと、またたった8年前にも朴槿恵大統領をキャンドル・デモで弾劾に追い込んだことを記憶している。民主化を経験していない若い世代も、親から聞き、学校でも学んでいるし、小さい頃から政治参加の経験を積んでいる。