韓国のデモ、なぜ日本より圧倒的に若い世代が多かったのか 「戒厳令を止める一人に」自然体の抵抗に共感 弁護士・猿田佐世
「朴槿恵弾劾の時は自分は小さな子供で、親に連れられてデモに行っただけだったけど、今はこうして自分から参加できます」と話す若者たちがたくさん選挙活動にも参加してくれた、と彼は嬉しそうに話してくれた。 ■自然体の抵抗 気がつけば午前3時だった 私の宿泊先ホテルは国会の真ん前。国会前の集会には会議参加者の日本人4人といた。 解除決議が通ると、国会の外では、張り詰めた空気が少しだけ緩んだ。まだ、決議を突きつけられた大統領は戒厳令を解除してはいなかったが、もう軍も無茶はできまい、そんな安堵と私は理解した。しかし、その後も人々が帰ることはなく、今度は「大統領弾劾」を求めて彼らは声を上げ続けた。 もしかすると、これを読む方々の中には、軍が投入された危険な場所にいるなんて無責任だ、と考える方もいるかもしれない。 私も、軍から暴力的行為を受けるかもしれない、デモが暴徒化するかもしれないと、緊張し続けた。雪がちらつくほど冷え込む中で深夜11時頃からずっと立っていたが、寒さも疲れも感じないほど張り詰めており、気づけば午前3時だった。 しかし、それでもその場を離れなかったのは、ひとえに、そこに集まった人々が実に自然体で、平和裏に声を上げていたからであり、また、私もその姿に共感したからである。深夜にもかかわらず集まった4000人とも5000人ともいわれる人々は、戒厳令が出たと知り「止めるその一人にならなければ」と駆け付けた数多くの個人の集まりだった。 日本のデモに比べると圧倒的に参加者の年齢が低く、カップルや友達同士で来ている若い世代も多かった。大学生から60才前後くらいまでの男女が偏りなく参加していた。一人で参加する車椅子の人も何人も目にした。彼らも警察車両の前に自分の車椅子を止め、車両の進行を阻止していた。 みなが落ち着きを失わずに声を上げていた。一人だけ少し興奮した様子の若者を見かけたが、すぐに中年の男性が声をかけ、なだめながら彼をデモの外に連れ出していた。SNSのビデオ通話でその場にいない家族や友人とつないで状況を伝えている若者たちもいた。