医師が考案、歩くよりも体にいい「すごい足踏み」とは…「歩くのがしんどい」という悩みが増加している
また、「すごい足踏み」の各種ステップを行うと、たくさんの体の部位を一連の流れの中で使うことになります。リズムに合わせてステップを踏んだり、手と足で違う動きをしたりすることが脳を働かせる刺激になるので、実は認知症予防にもとても効果のある動きなのです。 しかも、必要なものはご家庭にあるイスだけ。ぜひ、今日から早速実践していただきたいと思います。ここからは、誰でも簡単にできるよう設計された「入門編」の2つの足踏みをご紹介します。
■「速く動かす」よりも「大きく動かす」ことが大切 入門編① 床踏みステップ 最初の1拍で左足の「トン」→次の1拍で右足の「トン」→さらに次の1拍で左足の「ドン」→最後の1拍で右足の「ドン」を行います。両腕は、そのリズムに合わせて、普通に歩くときと同じように前後に振りましょう。 床踏みステップの注意点 ●動きを大きく 「足を持ち上げて降ろす」という動きが小さいと、筋肉や骨に届く刺激も小さくなるため、健康効果が半減してしまいます。疲れて動きが小さくなってきたら、足を動かすペース(リズム)をゆっくりに。「速く動かすよりも大きく動かすことが大切」と心がけましょう。
●ひざの角度を90度にする ひざの角度が小さすぎる(ひざを曲げすぎた状態になっている)と、かかとで床をつく「トン」も、足裏全体で床をつく「ドン」も、きちんと行えません。ひざの角度が大きすぎる(足を前に投げ出した状態になっている)ときも、「ドン」をきちんと行えません。 ■正しい「姿勢と座り方」を意識して 入門編② 両足スライド ひざをしっかり伸ばしたまま、「パカ」の動作を4拍子のリズムで行います。最初の1拍で両足を同時に開く「パカ」→次の1拍で両足を同時に閉じる「シュッ」動作をくり返します。このステップは腕を振らなくていいので、両手でイスの座面の横をつかんで上半身を安定させましょう。
両足スライドの注意点 ●前後に体重が偏るなど、座り方が悪い 前や後ろに重心が偏った姿勢で行っても、おなか・太もも・お尻などでターゲットにしている各筋肉に、適切な刺激を届けられません。 また、前かがみになったり、背もたれに寄りかかったりすると、ひざが曲がりやすくなります。さらに、イスに深く座ると、イスの座面と触れる太もも裏の面積が大きくなるので、両足を大きく開閉することも難しくなります。 ●ひざが曲がっている
ひざが曲がったままで行うと、特に太ももの筋肉(大腿四頭筋や大内転筋)をほとんど刺激することができません。これでは「パカ」や「シュッ」の最大の効果を失うことになるので、ひざはずっと伸ばしたまま行うようにしてください。 ●かかとを浮かせて足を動かしている かかとを床から浮かせて足を動かすと、ターゲットにしている筋肉に適切な刺激がいかないうえ、余計な負荷が他の筋肉・関節などに及んでしまいます。腰痛持ちの人は、痛みの悪化につながる可能性もあるので、注意してください。
菊池 守 :足の専門医