共働き家庭も参戦、加熱する首都圏での小学校受験「整った環境で学習させたい」親の想い
■6年間過ごす場所、子どもの資質か校風か…何を重視すべき?
魅力的な校風に惹かれても、自分の子どもに合うのかどうかは別問題です。のんびりしている子を進学校に入れても大丈夫なのか。環境に適応できるのか。小学校未就学児の場合、子どもの意志を志望校に反映させることも難しく、どの選択がベストなのか悩むことも多くなります。子どもの資質、子どもに合う学校はどのようにして見極めたらよいのでしょうか。 「この学校、ウチの子どもに合いますか?という質問はすごく多いのですが、3歳から6歳ぐらいの子どもって、環境に合わせて変化できる子が多いんです。むしろ学校に入ったら、その環境が当たり前だと思って過ごすので、『今の子どもの状態』よりも『どういう環境で学ばせたいか』を考えればよいと私は思います」 まずは家庭の教育方針を固め、その上で、共学か男子校・女子校か、宗教観、一貫校か受験対策校か、アフタースクールの充実、設備面、学校までの距離などの条件をかけあわせて考えると志望校を絞りやすいといいます。 「自律、思いやりなど学校の教育方針も色々とありますが、子どもに『前衛的なリーダーに育ってほしい』と思う家庭が、伝統を重んじる保守的な校風の学校に入れてしまうと、合わないですよね。なので、子どもの個性や資質は見た上で、この子をどんなふうに育てたいか、将来像にあわせて学校を選ぶとよいです」
■時間がない共働き夫婦、どう受験に挑む?「誰にでもできることは思い切って外注」
志望校を選ぶのは親でも、入学許可を出すのは学校側。入試に合格する必要があります。そのための受験対策講座や幼児教室があるのですが、小学校就学前の幼児は、保育園、幼児教室、公園など、どこに行く場合でも1人で行かせるわけにはいかないので、保護者の同行が欠かせません。勉強をする時も、基本的には文字が読めないので、問題文を読んであげなければいけません。子ども中心の生活を余儀なくされる受験生活、時間のない共働き夫婦の参入は難しいと言われてきましたが、実際どのような状況なのでしょうか。 「働きながら時間のやりくりをされている方は、今とても多いです。シッターさんや祖父母に手伝ってもらう、父親がリモートワークの合間をぬって幼児教室に連れて行く、なんてご家庭もあります。個人的に相談されたときは、『子どものことだけで時間配分しないで、自分のやっていることすべての中で、自分がやらなければならないことと、そうではないものを分けてみたら?』とアドバイスします」 忙しい時に家事代行やコンビニを利用することはダメではないと割り切って、自分の時間や子どもと向き合う時間を確保。受験対策にも「親でなければできないこと」と「誰でもできること」があるので、誰にでもできることは思い切って外注することが解決の糸口になります。 「例えば、日々の『こんなことがあったよ』『こんなの作ったから見て』という話を受け止めたり、一緒に体験に行ったりなどは、親にしかできないので忙しくても頑張らなくてはいけません。でも、ペーパー問題の問題文を読み上げるとか、ちょっとした絵の描き方を教えるとかは、親じゃなくてもできるんです」 例えば、大原さんがコノユメSCHOOLオンラインで提供している動画教材も、そのうちのひとつ。絵画・工作などの実践プログラムや、受験につながる季節行事の知識などを教える動画で、子どもは、動画の中の“大原先生”と一緒に勉強し、親はその間に家事など他のことをする時間ができるのです。 「動画学習を取り入れることで、親御さんは心の余裕ができますし、お子さんは自分でできたという気持ちにつながります。それに試験本番でも、やりかたを画像や言葉で指示されるので、親が手取り足取り教えるよりも、子どもが見て聞いて理解することが大事。もともとは親御さんのサポートのために作った動画でしたが、意外にも試験に直結していましたね」 親どころか“目の前に人がいる状態”でなくても大丈夫なのは、目から鱗。頼れる人がいない夫婦でも気軽に実践できる方法です。 「本来3歳から5歳の子どもって、できることがどんどん増えていくので、毎日成長があって、あれもできた、これもできたってほめてあげられる時期なんです。でも親がいっぱいいっぱいになってしまうと、そういうことに目を向けられなくなってしまう。仕事も家事も育児も“全部完璧”ってところからちょっと手を抜いて、楽しんだり人に任せたり。そうするだけで変わるんじゃないかなと思います」