〈パリ五輪「疑惑の6秒」〉もはや誤審は柔道の“お家芸”か? ベテラン公認審判が指摘する2つのミスリード「悪いのは選手でなく審判」「なぜビデオ判定をしなかったかモヤモヤする」
ガルリコスは「会場の騒音で『待て』には気がつかなかった」
試合直後からネットやSNSは「永山選手とガルリゴスが同じ銅なのほんと納得いかない。同じ銅でもガルリゴスの銅は荒んでると思う」「ガルリゴス結局銅メダルか 待ての後に絞め続けるスポーツマンシップからかけ離れた行為しておいて決勝行けないとか 本当なら銅メダルすら惜しい」などの投稿が相次ぎ、大荒れ。 一方のガルリゴス選手は母国メディアのインタビューに「会場の騒音で『待て』には気がつかなかった」と答えるなど、意図せぬ「場外戦」を審判団の不手際が招いたことは事実だろう。 そもそもビデオ判定の導入は、2000年のシドニー五輪の男子100キロ超級決勝での誤審に端を発する。 篠原信一選手がフランスのダビド・ドゥイエ選手の放った「内股」をかわす「内股すかし」という技で切り返し、畳に背中をつかせたにもかかわらず、それを見逃した主審の判定を副審の1人が支持したことで起こった「悲劇」である。 国際柔道連盟は後にこの際の判定を「誤審」と認め、ビデオ判定導入につながった。これ以外にも柔道競技における「誤審」は枚挙にいとまがなく、細かなルール改正が繰り返されてきた歴史がある。 Aさんは実業団をはじめ様々なカテゴリーで、今も年間20数大会で審判を務める「現役」だけに、公平なジャッジのあり方には常に目を光らせてきた。 今回のオリンピックでは男子60キロ級と並行して行われた女子48キロ級準決勝でも、角田夏実選手と対戦した18歳のスウェーデン選手がわかりにくい形で「反則負け」を宣告されるなど、判定に向けられる注目度は競技初日から高まった。 「大きな大会になると、試合会場の音響や設備面での不具合が運営に影響することも多々あります。 今回の初日の模様をテレビ観戦していて、問題になった試合の後に行われた決勝ラウンドから、主審のマイクの声がクリアに聞こえたので、大会運営側がボリュームを上げたのでしょう。後手に回った印象ですが、そうやってきちんと対処していくことが大事だと思います」 Aさんがこう指摘するように、トラブルが起きたのが競技初日だったことは不幸中の幸いだったのかもしれない。 雨の開会式で始まった花の都パリでの100年ぶりのオリンピック。柔道の発祥国の日本と、柔道競技人口世界一のフランスを中心に織りなす「JUDO」が大会成功に華を添えることを祈る。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班
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