改正されたばかりの「相続時精算課税制度」の超キホン…オトクになったポイントはどこ?【司法書士が解説】
2024年1月1日に相続時精算課税制度が改正されました。これによって着実な節税が可能になり、さらに無税でできる贈与の範囲が広がりました。具体的にはどのような改正内容なのでしょうか。司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
相続時精算課税制度の概要
相続時精算課税制度は、名前の通り「相続時に相続税を清算する」という制度です。子や孫は、2,500万円まで非課税で贈与税を受けられますが、非課税で贈与した財産については、相続時に相続税が徴収されることになります。 贈与した方が亡くなって相続が発生すると、亡くなった方の財産に加え、過去に贈与してもらった財産も、相続財産として相続税が課税されます。つまり、ひと言でいえば「課税を先送りする」ような制度です。 たとえば「1億円の財産」を持っているAさんが、生前に相続時精算課税制度を活用し、2,500万円を娘さんに贈与したとしましょう。その場合、Aさんの手元には7,500万円が残ります。 その後、Aさんが亡くなったとき、手元に残っている7,500万円ではなく、1億円に対して相続税が課税されることになります。 なお、この相続時精算課税制度の2,500万円の枠を超えた部分に関しては、一律20%の贈与税がかかります。
従来の相続時精算課税制度の問題点
従来の相続時精算課税制度には「一度利用すると自動継続し、取り消しをすることができない」という問題点がありました。 「去年は相続時精算課税制度を利用して1,000万円を贈与したが、今年は通常の贈与税を支払って1,000万円を贈与したい」と思っても、去年に続き、今年の分も自動的に相続時精算課税制度の対象となってしまっていたのです。 ここで問題になるのが、相続時精算課税制度を使ったことで「歴年課税制度」(毎年110万円までは贈与税の申告をしなくてもいい、人気の高い制度)の利用ができなくなることです。 相続時精算課税制度を利用すると、二度と歴年課税制度には戻れないため、110万円の贈与も全て相続税の対象になってしまいます。相続時精算課税制度を使って1,000万円贈与して、翌年に110万円の増与をしようと思っても、「相続時に相続財産に加算して相続税を払ってくださいね」といわれてしまいます。
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