改正されたばかりの「相続時精算課税制度」の超キホン…オトクになったポイントはどこ?【司法書士が解説】
着実な節税が可能に…新しい相続時精算課税制度
そのような背景から、2024年1月1日以降の贈与は、相続時精算課税制度を選択した場合、2,500万円の非課税枠とは別に、年間110万円までの非課税枠が新設されました(選択した年には届け出が必要)。これにより、年110万円までの贈与は、贈与税が非課税となり、かつ、累計2,500万円の相続時の相続財産への加算も不要です。 つまり、2,500万円の非課税枠はありつつも、さらに毎年の110万円の枠もあります。イメージとしては、毎年の110万円の枠を使ってから、2,500万円の枠を使うかたちです。 将来相続が発生したときには、この110万円の非課税枠内で贈与した分は相続財産に持ち戻さなくてもよいため、年間110万円までであれば、完全な非課税となります。 具体的な例を挙げて考えてみましょう。 1億円の財産を持っている人が、相続時精算課税制度を利用して1,000万円の贈与をした場合、これまでは相続時に相続財産へ持ち戻されました。 それが、2024年1月からは、「110万円」が完全に非課税となるため、相続時に相続財産に持ち戻されるのは890万円になります。次の年に再び110万円の贈与を行った場合、この110万円に関しては申告義務もないため、税務所に申告する必要はありません。 将来の相続時、財産に持ち戻されないことから、贈与した金額は1,110万円(1,000万円+110万円)ですが、相続財産に持ち戻されるのは、890万円(1,000万円-110万円)になります。 したがって、上述の「1億円の財産」を持つAさんが、今年、相続時精算課税制度を活用して娘さんに2,500万円を贈与し、さらに別枠の110万円贈与を実施した場合、課税される相続財産の額は、 1億円-110万円-110万円=9,780万円 となります。 このように、新しい相続時精算課税制度を利用することで、着実に節税が実現できます。
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