50・60代なら押さえたい新NISA「リスクの取り方」 退職金を「同じ金融商品へ一括投資」は絶対ダメ
政府は「貯蓄から投資へ」を推進し、金融教育にも力を入れています。一方、現在の50代・60代は「お金は汗水垂らして働いて得るもの」「投資でお金を増やすのは抵抗がある」という価値観が根強い世代であるようにも思います。 近年の物価の上昇や、将来の年金給付額の減額見通しといった環境の変化に伴い、投資による資産形成の必要性は高まっています。このような流れを受け、投資の切り札として2024年1月から始まったのが、新NISAです。 【イラストで見る】50代・60代のリスクヘッジ
これまで投資に無縁で過ごしてきた50代・60代の方にもわかりやすいように、新NISAの活用法とリスクについて『老後のお金の不安をなくす50代・60代からの新NISA』より、一部抜粋・編集してお伝えします。 ■50代・60代のリスクの取り方 老後までの運用期間が短い50代・60代は、近い将来の生活費などを考慮して、必要以上のリスクを取らないよう注意しましょう。 ●老後資金の形成に必要以上のリスクは不要 50代・60代から投資で資産形成を始める場合、若年層で始めるよりも運用期間は短くなり、時間の分散や長期投資によるリスクの軽減効果を得づらくなります。
一方で、老後の家計の不確実性は徐々に減り、必要十分な蓄えがどのくらいか、見当もついてきます。50代・60代は、老後資金の形成のために、必要以上に大きなリスクを積極的に取らなくてもよいのです。 ●無理のない金額で投資する 新NISAの年間投資枠は年間360万円、夫婦だと合計720万円になります。早く老後資金を作ろうとし、年間投資枠をフルに使うために過度に投資に回してしまうと、相場が急変した時に、慌てることになります。
お金の分類をしっかり行い、余裕資金での運用を徹底しましょう。 ●分散の鉄則を忘れずに 50代・60代は、退職金や相続などで一度に大きなお金が入ることも考えられますが、入った資金の多くを、同じ金融商品へ一括投資することは控えましょう。銘柄や商品の分散、時間の分散の鉄則を忘れずに運用することが大切です。 おすすめは、手元資金を按分して投資をする方法です。 たとえば2000万円まとめて受け取り、向こう15年で老後資金を作りたい場合は、1年間で133万円ほど、月額だと11万円程度を投資に回す、というやり方なら、時間の分散による効果が期待できます。