井岡一翔が6.19幕張・4階級制覇再挑戦を「最後のチャンス。人生かけて戦う」と決意する理由
プロボクシングの元3階級王者でWBO世界スーパーフライ級2位の井岡一翔(30、Reason大貴)が6月19日に千葉の幕張メッセで同級1位のアストン・パリクテ(28、フィリピン)と同級王座決定戦を戦うことが19日、埼玉のReason大貴ジムで発表された。日本のジムに移籍。2年2か月ぶりに日本のリングに上がる井岡は「もう後がない。覚悟を決め人生をかけて」日本人初となる4階級制覇の偉業に再挑戦する。 井岡は、大晦日にドニー・ニエテス(36、フィリピン)と、同級王座決定戦を行ったが、1-2の判定負けで4階級制覇に失敗した。だが、新王者のニエテスがベルト返上したことで指名挑戦権を持っていたパリクテとの王座決定戦に出場するチャンスをランキング2位をキープしていた井岡が得た。 「負けたボクサーが再起戦で世界タイトル戦ができるのは、そうはないこと。話を聞いたときはビックリした。気持ちとしては後がないと思っている。最後のチャンス。覚悟を決め背水の陣だと思って人生をかけて挑む。敗北からのストーリーを完結したい」 埼玉越谷にある移籍先のジムで会見を行った井岡は思いつめたような表情で語った。 大晦日にマカオで戦ったニエテス戦は今でも負けたと思っていない。 「僕は正直、終わった時点で自分の勝利を確信したというか、勝ったかなという試合だった。でも負け……結果を受け入れたが、元々、ニエテスも下から階級を上げてきた選手で技術やパワーという部分で不足していたとは感じない。自分の戦略であったり、試合展開、かけひきの部分が敗戦につながった」 ニエテスの効果打と見映えの良さを2人のジャッジが支持した。手数とスピード、リングゼネラルシップ(ラウンドの支配)については井岡が勝っていたラウンドが少なくなかった。しかし、僅差判定になった理由は、相手を下がらせるような決定的な一撃の不足だった。 試合後、練習場所を提供していた元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志も、そのあたりの課題を指摘していた。 しかも、今回のパリクテは身長が173センチあり、ニエテスよりも体格、パワーで上回っている。28戦25勝(21KO)2敗1分けのボクサーファイターで高いKO率を誇るハードパンチャー。井岡が、昨年米国ロスでアローヨに判定勝利した「スーパーフライ3」でニエテスと王座決定戦を戦いドローだった。リーチを生かしたジャブ、ワンツーを主体にボクシングを組み立てるオーソドックスなスタイルで右のストレートには威力がある。また遠い距離から左のアッパーでガードをこじあけてくるなど左が多彩だ。 井岡は、そのパリクテの印象を「アグレッシブな印象。若くて勢いがありパンチ力がある。身長差はあるが、背の高い選手へ苦手意識はない」と語った上で、4階級制覇を果たすための必要条件をこう続けた。 「いままでやってきた練習が間違っているとは思わない。力はついていると実感している。後は、それをパフォーマンスとして今までと違ったところを出す勇気だと思う。結果を出すための選択としては、そこに踏み込まないといけない」 その“勇気”について「わかりやすくいうと、力強いパンチを1発でも、2発、3発でも勇気をもって打ち込んでいくこと。シンプルなことが今の自分に必要なことだと思っている」と説明を加えた。