400年の歴史誇る宿場町・奈良井宿に東京からデザイナーが夫妻で移住。町家の改修、コミュニティとの距離の取り方、歴史的集落で人と関わり暮らすということ 長野県塩尻市
はじめから古い町並みで暮らしたいという希望があったわけではないという郁也さん。条件に合う物件を探す中で、奈良井の物件にたまたま行き当たったのだそう。 「不動産のサイトで見るまで、こんなにも古い家が連なったまちがあるなんて知りもしませんでした。まちの目の前に山もあって、ここしかないと思いすぐに決めました。物件の内見は、この家ともう1軒、奈良井宿の中で見ただけなので、ほかの地域は見ずに1回の内見で決めてしまいました。東京では中古マンションをリノベーションした部屋に住んでいたので、古い町家も手を入れれば快適に過ごせるだろうと思ったんです。今振り返ってみるとすごい勢いだなと自分でも思いますね(笑)」
建物の改修設計はもともと知り合いだったという3人組の建築家ユニット、ツバメアーキテクツに依頼。 「居間の天井に天窓があったので、これを残して良いデザインを考えてくれる方にお願いしたいなと考えていました。ちょうど代表の山道拓人さんがSNSで、光のデザインに力を入れていきたいと投稿されていたのを見て、ご相談しました。奈良井宿は重要伝統的建造物群保存地区に指定されているので外観を変更することはできません。また江戸時代の町家を今の暮らしにフィットさせるためには設備の更新や断熱性能の向上も必要です。限られた予算の中で、どのように手を入れればこの町家で暮らしていくことができるかを一緒に考えていきました」
幸い、標高も高く森林に囲まれた奈良井宿は東京に比べると夏の暑さはさほど厳しくなく、冬季の対応を中心に検討していきました。 結果的に断熱の範囲はメインの生活空間となる箇所に限定し、キッチン設備などに必要な資金を残すことができたといいます。 また念願だった天窓のデザインも気に入っているそうです。 通り庭は元の持ち主が貼っていた既存の床を撤去して建築当初の土間の姿に。壁一面に本棚を設置し、数千冊の本が並ぶ収納スペースに変貌しました。
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