「読めない、書けない、計算できない」学習障害(LD)の子どもが苦手なこと、その兆候とは?
「どうして読めないんだろう?」「なんで書けないんだろう?」と、悩んでいる子はたくさんいます。学習障害(LD)とは、発達障害の一つです。読み書 【前編】子どもたちを悩ませる学習障害(LD)とは何か きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。 LDの特性による困りごとは、アプローチのしかたで減らすことができます。勉強がうまくいかないのは、その方法が合っていないからです。つまり、自分自身に合った方法がわかれば、その子の学習・生活面の困りごとはずいぶんと減ります。イラスト図解で基礎からわかるLD入門書『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』より、連載形式で基礎知識や、困りごとに合わせた工夫を紹介します。 今回は、前編に引き続きLDとはどういうものか、どのような困りごとが起こっているのか、について解説。
学習障害(LD)のある子はどんなことが苦手ですか?
音韻認識が弱い、視覚認知力が弱いなど、LDの特性の背景要因は人それぞれです。そのため、どんなことが苦手かは、同じLDでも異なります。読み書きが苦手な子もいれば、算数が極端に苦手な子もいます。下記のように、苦手な傾向から、いくつかのタイプに分けられます。 学習障害には、さまざまな呼称がありますが、苦手なタイプ別に分けたものでよく使われているのが、読むことが苦手な「読字障害(ディスレクシア)」、書くことが苦手な「書字障害(ディスグラフィア)」、計算が苦手な「算数障害(ディスカリキュリア)」です。 ■「読む・書く」が苦手なタイプ ひらがなやカタカナ、漢字などの「読む・書く」に困難がある。読む・書くはあらゆる教科にかかわるため、学習面のつまずきが起こりやすい ・「っ」や「きゃ」などの特殊音節がよくわからない ・漢字を正しく書けない・読めない ・誤った文法で文章を書く ・読めるけれど意味をわかっていない ・作文や長文を書けない ・読み飛ばしが多い ■「計算・推論」が苦手なタイプ 数・量の概念、数式記号、計算のルールを理解することが難しく、算数の授業でつまずきやすい。また、因果関係を考察することが苦手 ・たし算・ひき算に時間がかかる ・くり上がり・くり下がりがわからない ・九九を暗記しても使えない ・数・記号の意味を理解できない ・算数の文章問題が解けない ・図形の問題がわからない ・原因と結果を関連づけるのが難しい ■「聞く・話す」が苦手なタイプ 聞きとった言葉を正確にとらえて理解することが苦手。なかなかスムーズに言葉がでなかったり、順序立てて話すことが難しかったりする ・聞きとりができない ・言葉の復唱ができない ・聞き間違いが多い ・話している途中で黙ってしまう ・筋道を立てて話ができない ・まとまった文章で話せない