「読めない、書けない、計算できない」学習障害(LD)の子どもが苦手なこと、その兆候とは?
LDにはなにかサインはありますか?
LDは就学前にはなかなか気づけません。仮に疑わしい様子が見られたとしても、この段階で正確な診断は不可能です。 就学後も1年生の早い時期では勉強はそれほど難しくないため、気づきにくい場合もあります。しかし、1年生の夏休み明けくらいになると、勉強での困りごとが増えてきます。だんだんと「苦手なこと」「できないこと」がはっきりし、本人が授業をつらいと感じていることがあります。このときが気づきのタイミングです。 勉強嫌いの背景にLDがあることもあります。子どもの様子を注意深く観察することが大切です。 ■就学前に兆候が見られることも 就学前には正確な診断はできませんが、LDが疑われるようなサインがあらわれることがあります。 (1)絵本などを見せても反応がうすい 幼児は、絵本などを見せると文字に興味を示すことが多い。しかし、LDのある子はそうした反応がうすい (2)数字に興味を示さない 親のまねをして数をかぞえるということもしない
勉強で困っている子の、特徴的な様子は?
勉強で困っていることや苦手なことがあると、以下のような様子が見られることがあります。 (1)音読するとき読み方がたどたどしい 教科書などを声にだして読むとき、スムーズに読めない。1文字ずつ読んだり、正しい読み方で読むことができない (2)ノートを見ると書き間違いや、乱れた字がよくある 文字がマス目から大きくはみだしていたり、形が乱れていたりする。漢字の書き間違いや、左右が逆になっているものが見られることも (3)授業参観のとき、ほかの子と様子が違う 先生の指示や質問の意味をわかっていないように見えることも。また、ノートをとるのにほかの子よりも時間がかかる (4)きょうだいと比べて勉強の様子に違和感がある 宿題にかなり時間がかかったり、思いもよらないミスが多いなど。連絡帳で勉強に関する指摘が目立つこともある (5)学校に行くのを嫌がるようになった LDの特性により学校生活がうまくいかないことが続くと、学校に行くのが嫌になることも
高橋 知音(信州大学学術研究院(教育学系)教授)