韓国大統領は「過激派YouTuber」に影響された可能性…突如起きた「戒厳令」で日本が直面する最悪のシナリオ
12月3日の韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」は一夜で解除されたものの、混乱は続いている。桜美林大学の塚本壮一教授は「場合によっては次期大統領選挙が前倒しで行われる可能性もある。日韓関係の悪化のほか、好ましくない余波が日本に及ぶことが考えられる」という――。 【図表をみる】世界各国・地域の民主主義の指数 ■収拾どころか混乱がいっそう増す韓国政治 韓国の尹錫悦大統領は12月3日、突如、「非常戒厳」を宣布し、国会に戒厳軍を出動させるという予想外の行動に打って出た。戒厳令は約6時間で解除されたものの、民主主義の価値を大統領みずから毀損するもので、韓国が受けたダメージは小さくない。 北朝鮮や中国の動向などアジアの安全保障をめぐる環境が厳しさを増す中、日米韓3カ国の連携への影響も不可避と見られ、日本は難しい対応を迫られることになりそうだ。 尹錫悦大統領の「非常戒厳」を受けた混乱は、収拾に向かうメドが立っていない。韓国国会に上程された尹大統領に対する弾劾決議案は保守系与党「国民の力」の反対で廃案となったものの、革新(進歩)系の最大野党「共に民主党」は再提出してあくまで可決させる構えだ。 同党の代表は前回の大統領選挙で尹錫悦氏に敗北した李在明(イ・ジェミョン)氏である。政府・与党は、尹大統領に外交を含む国政に関与させず、首相と党代表がいわば代行する方針を示したが、野党は、尹大統領による戒厳を許した首相への攻勢を強め、国会議長からも、大統領の権限を首相や与党が行使するのは違憲だとクギを刺されている。 与党は、尹大統領の弾劾賛成に一旦、傾いたものの、尹氏が7日になって陳謝した上で、今後について党に一任すると述べたことから、一転して反対に転じた経緯がある。 尹氏が罷免されれば次の大統領選挙で不利な戦いを余儀なくされるのは明らかで、それを避けるための時間稼ぎと批判されている。野党が攻勢を強め、世論の反発が一層強まれば、与党議員の造反で弾劾が成立しかねないという厳しい状況にある。