就活で「デートへの執拗な誘い」「性的な冗談」、学生の3割がセクハラ被害…防止対策義務化へ
学生らが就職活動中に受ける性的な嫌がらせ「就活セクハラ」について、厚生労働省は企業に防止対策を義務付ける方針を決めた。立場の弱い就活生の被害が相次いでおり、面談時のルール策定や相談窓口の設置を求める。26日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で了承を得た。 【一覧】就活生が訴えている「就活セクハラ」の心身への影響
職場のセクハラを巡っては、男女雇用機会均等法に基づき、防止措置の実施が企業の義務となっている。だが、雇用関係にない就活生は対象外で、女子学生がOB訪問の際、わいせつな行為をされるなど深刻な被害も出ている。
今年1月に厚労省が行った調査では、志望企業の社員らからセクハラをされた就活生は3割に上った。被害は「性的な冗談やからかい」「デートへの執拗(しつよう)な誘い」が多く、その影響として「就活への意欲の減退」「眠れなくなった」を挙げる人が目立った。
厚労省はこれまで、同法に基づく指針で企業に対策を求めていたが、被害が後を絶たないため強化が必要と判断。就活生を従業員に準ずる立場と位置付け、OB・OG訪問時の場所や時間などについてルールを設けることや、相談窓口を整備して就活生に周知することなどを義務化する。
同省は、こうした方針を盛り込んだ同法改正案を来年の通常国会に提出する。
この日の審議会では、従業員101人以上の企業に対し、男女間の賃金格差と管理職に占める女性の割合の公表を義務付ける方針案も、了承された。
男女間賃金格差は2023年、男性の賃金水準を100%とした場合の女性水準が74・8%で、8~9割の欧米諸国より低かった。従業員301人以上の企業は、女性活躍推進法で22年から公表が義務となっているが、対象を拡大し、女性の処遇改善に向けた取り組みを加速させる。
23年の女性管理職の比率も12・7%と、4割程度の米国などと比べて低水準となっており、新たに公表を義務化することで積極的な女性の登用を促す。同省によると、従業員100人以上の企業は21年時点で全国に約6万3000社ある。